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私のアイドル征士さん③

その③

今の腐った私の妄想


大学受験を終え上京した征士。そこへ突然の訃報。愛が事故で亡くなった。ショックで暫く休学。遼達の存在に助けられつつ一ヵ月後復学。この時は皆でまた共同生活している。伊達か毛利のおぼっちゃまがでっかいマンションを買ったか借りたのさ。

大学3年の春、征士は木の上から降りられなくなった子供を助けようとする。そのとき運悪く木が折れ、その下に止めてた車に落下、フロントガラスが割れる。しかも中に人がいた。車から出てきたのは頬にキズがある身長190㎝くらいある大男。車も超高級車。どうみてもその筋の人に見える。これは面倒なことになったと思いつつも謝罪と弁償の旨を伝える。保険が降りるのでいいというかそうもいかないとちょっと問答する。すると「・・・だったら、金はいいんだが、ちょっと頼みたいことがある」「何を?」「モデル頼めねーか?」「は?」「俺はプロのカメラマンなんだ。次の個展のテーマにあんたがぴったしなんだ」とのこと。もちろん断ってもいいから考えてくれという。急いでいる男は慌しく翌日会う約束をして別れた。あわただし過ぎて名乗りあうこともしなかった。でも名詞を渡されたのでそれを見ると書かれていたのは”片倉小十郎”という名だった(エヘ)。それは伊達政宗の右目と評された男の名前だった。どうやら縁があるらしい。モデルの件は遼に相談することにした。

遼曰く「結構有名な人だよ。光の使い方が独特で印象的。写真集持ってるから見る?」とのことで見せてもらう。光をテーマにした写真が多いらしい。片倉氏は一時期失明したことがあり治った時に見た光・情景が忘れられない。あの時のような写真がとりたいのだそうだ。そのせいかやけに新鮮で胸が掻き毟られるような写真が多かった。気に入った。撮りたい写真の内容によってはOKすることにした。
翌日会う。サングラスを外した顔はなかなかのイイ男。でも頬のキズがあるので強面なことには変わりない。年齢は36歳だそうだ。名前を伝えると大層驚かれる。親が大河ファンだったらしい。本人も歴史好きで手紙書くときは片小で頼むとかそんな会話を一通り楽しむ。気が合うようだ。モデルをお願いした理由はやっぱり光。征士を見たとき失明が直ったときに見た光だと感じたそうだ。さすが光輪。無駄に光ってます。モデルは自然体なのや自然の中を歩いてもらうとかでヌードとかじゃないらしい。また雑誌掲載とかではないのでマスコミに注目されることはない。TV取材は断るとのこと。なら良いかと思いモデルを引き受ける。

時折食事したり、出かけたりして写真を撮る。皆がいる家に来て写真を撮ったこともある。その時遼は大喜びで話しかけていた。昔から撮り続けた征士と皆の写真を見せたりする。良い顔だと褒められる。遼と片倉は「うちのスタジオに来てみるか?」「いいのか?」となり遊びに行くことに。

数日後、征士と遼と伸と当麻は片倉の家に。自宅とスタジオが一緒らしい。一通り見学、庭の家庭菜園を発見。家庭菜園が趣味らしい。前衛盆栽が趣味の征士と話しが弾む。そういや車も好きなので結構共通話題がある爺むさい二人だった。渋茶をすすって縁側で碁でも打ちそうな雰囲気がある。それを見ていた伸と当麻はちょっと複雑な気分。嫌な予感も少々。

冬休みに入り征士は帰省することになる。写真を撮るために片倉が征士の実家に訪れる。横笛と尺八を吹きあったり剣道したりいろいろな話をする二人。片倉が失明したことがある話をした。その時に奥さんも亡くしたと聞いた。自分も愛を失った話しをした。なんとなく気があうのはお互い埋められない穴を抱えた者同士だからだろうか。そんなこんなで付き合いは続く。

個展前日。二人だけで個展会場にいた。「当日招待してぇけど、そしたら注目の的になっちまうからな」との気遣いだった。ゆっくり展示物を観賞する。光のなかで人が自然が笑ってる、そんな新鮮なものから、見えたせいで見たくもないものを見た、そんな掻き毟られる写真もあった。その中で亡くなった奥さんがいた。愛しくて、美しくて、泣きたくなるような写真だった。征士は愛を思い出し少し泣きたくなった。奥さんの連作のあと闇があった。その後は感情のない写真。映ってはいるが光が無い写真。それでも少しずつ光がさしてきた。だんだんと光が取り戻される。その中に自分の写真があった。奥さんとは違ったやわらかい光の絵だった。最後、夜の雪の中淡く燐光を放ちながら立つ自分の写真があった。ひどく、キレイな写真だった。題名は光。
「どうだ?」、「良かった。しかし最後のこれは・・・」、「何だ?」、「・・・キレイ過ぎる。自分じゃないようだ」、そのセリフに驚き苦笑する。無自覚っつーのは恐ろしいなと思いつつ「仕方ないだろ、あんたキレイなんだよ。俺にはそう見えんだ」と言う。そこで一冊のアルバムを渡される。出会ってから撮り続けた征士の写真だそうだ。「俺から見たあんただ。受け取ってくれ」その場で別れ家でゆっくり見ることにする。

アルバムを開くと展示会場にはなかった自分がいた。やわらかく、おだやかに微笑んだり、怒ったり、ぼーっとしていたり、こんな表情をしていたのかと驚かされる。撮ってる側の愛しさが伝わるような写真だった。奥さんの写真を思い出す。あれと違うのは自分からは愛しいという表情で片倉を見ていないことだろうか。それでも自分はこんな表情をしていたのかと驚く。
アルバムを皆に見られた。伸は「・・・これって遠まわしの告白?」、遼が「なんか悔しいな。ずっと征士の写真を撮ってきたけどこんなに色んな表情の征士は俺には撮れなかった。余程よく征士のこと見てたんだな。片倉さんは征士のことが好きなんだな」ズバリと確信をつく。当麻が「あの写真展、愛するものの出現・消失、闇、そしてまた出現、でも遠巻きで眺めで近づいて、キレイ過ぎて近寄れず切ない、みたいな構成だったよな」などなど。皆うがったことを言う。なので、確かめに行くことにした。

片倉のとこにいき、直球で真意を尋ねる。どれも間違っちゃいない。征士のことが好きらしい。「ただあんたは暗闇に浮かんだ光なんだよ。月みてーに触れそうで触れない、でも触れる。どうしたいのか自分でも良く分らねぇんだ。ただこうして茶でも飲んでられれば満足な自分がいるしな」ゲイでもないしな、そんなふうに言って笑う。征士の方もこの状態で十分でそれ以上どうこうしようという気は無い。「私は愛のようにお前を愛しいとは思わない。」、「俺もだ」、「ただ、こうして二人で飲みながら話してるのはとても楽しく大切な時間にはなってる」、「俺もだ」、「私達は茶のみ友達ということか?」、「言えてるな。ただ、それよりはもちっと特別には思ってる。だから付き合わないか?」「恋人として?」「そこまではどうだろうな。とりあえず付き合って暫く考えたい」、縁側で茶を飲みつつ思案する。答えを急ぐ必要は無い。「そうだな」征士はその申し出を受けた。茶飲みみカップルの成立。

その後いろいろあって恋人というか連れ合い候補になる。要は片倉さんが手出すか否かです。結局失う恐怖が拭えなかったので恐る恐る好きになってくのね。ちなみに征士は愛以外には受身。ひたすら片倉さんが奉仕します。それに絆された感じ。鎧のことはまだ内緒。ただの青年ではないことは片倉さんも気付いている。

大学卒業後は東京で就職。1・2年後、片倉さんが「ずっと一緒にいてくれないか」と征士にプロポーズ。そこで鎧のことを話す。お前はまた失う可能性があると伝える。「それでもいい」と答える片倉。覚悟は決まったようだ。二人で所帯をもつことにした。つーか征士が片倉んちに引っ越す。んで指輪を付けさせられる。嫌がるがそれだけは頼みこんでつけてもらう。こじゅ頑張れ。

征士さんは実家に戻って「愛以外の女性はどうも愛せそうにない。しかし寄り添える相手を見つけた。その相手は同性なので子供は望めそうに無い。私は跡取りには相応しくないだろう」とカミングアウト。家族は動揺するが愛のことは無理からぬことと思い受け止める。愛はそれだけ征士にとって特別な存在だった。彼女以外に征士が結婚を考えるとは思えない。愛を失った後で無理矢理結婚させても不幸になるだけ。話し合った結果、弥生さんが跡継ぎとなり征士は東京で暮らしていくことが決定する。

時折鎧の召集があるがそれなりに幸せにまったりと生きていく二人だった。

(終)

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あははっははははははっはは!もう笑っちゃうしかないような妄想ですよ!現代こじゅまさもどきになっちまった!私ってば想像力豊かなんだか腐ってるんだかもうよくわからん!!こじゅと征士って仲良くやってけそうだよなと思ったの。それだけなのぉおお!
征士は一途そうです。でもその一途な相手が見つからなければそれなりの相手でも納得して結婚して穏やかな家庭を築きそう。でも一度見つけてしまったらそれ以外はダメそう。そしたら愛してもらうのがいいと思う。そして絆されるというか慣れる。そうして征士受になりました。不幸になっても最後は幸せになって欲しいのよ。
歳とともに愛情も捻くれてきたようです。

腐ってるなぁ、私って。