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なぜか浮き立つ。

今年はガリレオ天体観測400年
今日はアポロ月面着陸40年

だそうです。明後日は皆既日食だし、SF好きとしてはなんかワクワクします。
そういえばガリレオさんが自分で作った望遠鏡で初めて観察した天体は月だったそうな。なんかいいな。月は大好きです。

久保時の距離感は月と月っぽい。
月って一つじゃないような気がしませんか?月は満ち欠けするし、真昼の月もあるし、隠れてしまうこともある。太陽のように普遍じゃないの。うんと昔は月っていくつもあるなぁなんて思ってました。
普遍のものは安心感あるけれど、変化するものに慰められることもある。
私の久保時イメージってこんな感じ。

月と子供

 

目が覚めたら目の前に子供がいた。

初めて会った頃の翔太より小さい。
小学生?幼稚園?すごく小さくてよくわからない。

子供のくせして目が細い。
こちらを見ているがその目は何も写してないように動かない。
しかも表情がない。
こちらに興味を持つこともなく、こちらの反応を窺うでもない。
ただ見てるだけといった顔だ。
その何を考えてるのかわからない態度はふてぶてしいともとれる。

あー、こりゃ久保ちゃんの子だな。

そう結論付けた。
どこそかの女に「あなたの子だから!」とか言われて押し付けられたのかも。こんだけ似ていたら言い逃れ出来ないよな。
でも久保ちゃんのことだから自分の子じゃなくてもそのまま引き受けそうだ。
こういうことに拒否する気力が無さそうだもんな。

「俺、時任。お前は?」

 とりあえず自己紹介。

「…マコト」

 ふーん、父親と同じ名前つけたんか。まぁ悪くは無い。俺は”久保ちゃん”としか呼ばないから支障はないだろう。

「久保ちゃんは?」

 肝心の父親は何処行ったのか?知らないのか少し首を傾げた。
 お、結構可愛いかも。
 大きな頭に小さい体。そのアンバランスな体で首を傾げると表情が変わらずとも可愛げがある。するとなんとなく構いたくなるから不思議だ。色々聞きたいことも疑問に思うこともあるけれどそれは元凶に聞くとしてこいつの面倒をみてやろう。

「なぁ、メシ食ったか?」

 今度はふるふると首を振った。またもや表情は変わらないし、振り方も少しだけだった。それでも可愛い気がする。こいつの分の昼飯まで作ることにした。

 そうして二人分のミートスパゲティを作って二人で食べた。
 マコトは小さすぎて椅子に乗れなかったので、二人でソファーの上で皿を抱えて食べた。マコトは小さいその手には大きすぎるフォークを不器用に操って一生懸命食べてた。

「美味いか?」

 またもや返事はなく、こくんと頷いた。先ほどよりは大きく頭を振ったので美味いんだろう。そう思うことにした。
 食べ終わった後でソファに赤いシミが出来てた。ソースがこぼれてしまったんだろう。子供サイズの椅子がないのが悪い。

 マコトは何にもしゃべらない。
 聞くと頷いたり首を振ったり反応を返すが自分からはしゃべらない。言葉がしゃべれないほど小さいんか?それともそういう性格なんか?よくわからない。
 自分からは何も言わないので何をしてやればいいのか分らない。なので俺がしたいと思ったことを一緒にすることにした。 

 マコトは小さくて腕の中にすっぽり入るので、あぐらかいた上に座らせて一緒にゲームしたり、一緒に寝転がって漫画読んだりしていた。
 子供の体温は暖かい。
 俺も体温が高いが更に暖かく、隣にいると眠気をさそう。
 そうしていつの間にかまた眠ってしまった。

 ・・・

「時任」

 久保ちゃんに起こされて目が覚めた。

「ただいま」
「…おかえり」

 元凶のお帰りだ。ただいまより言うことがあるんじゃねーか?と思って腕の中のマコトを見ると…いない。
 あれ?

「…なぁ子供いなかった?」
「子供?」
「久保ちゃんそっくりな子供がいたんだけど…」

 一緒に寝てたのにいなくなった、と続けようとして止めた。目が覚めたら突然子供がいて、もうっかい目が覚めたらいなかったなんて変な話だ。
 考えてみれば、いくら久保ちゃんでも隠し子を連れてきて俺が寝てる間に放置なんてするはずがない。夢だったんだろう。

「なんでもね、夢見てたみてー」
「そう?」

 ちょっと首を傾げた仕草が夢の中のマコトと同じだった。
 あの子供は久保ちゃんの隠し子じゃなくて子供のころだったのかもしれない。そう思えば納得だ。今度久保ちゃんの子供のころの写真を見せてもらおう。あればだけど。

「そういえば、帰り際に皆既日食見たけど、時任も見た?」
「あ、見損ねた」

 丁度昼寝してた頃だ。
 だからあんな夢を見たのかもしれない。

 国内では46年ぶりの皆既日食
 昔は怪奇現象とされ恐れられ、不思議なことが起きたという。

 ふと見ると、ソファにはいつついたか分からない赤い染みがポツンと残っていた。

 そんな47年ぶりの午後。


<終り>


 突然思いついた適当な不思議話。時任が子供の久保田と会ったらこんな感じかなーって妄想。もし久保田が突然隠し子を連れてきたら普通に受け入れて面倒見るんじゃないかな。もちろん久保田に対しては鉄拳制裁するだろうけどね。久保田は言葉の遅い子供だったと思う。話す相手がいなかったので。気が向いたら久保田ver書くかも。