7年後 新年麻雀大会 - 5 -
「ロン」

葛西が渋い声でロンを宣言した。

「平和(ピンフ・1翻)にリーチで2翻で逃げ切り勝ちだな」

トップだった葛西は地味な役で仕上げるという安全策をとったようだ。
高得点を競う勝負ではなかったので当然かもしれない。

「!振り込んじまった!!」
「あーでもこれは予想するの難しいよ?」
「うん、相手が悪かったよ・・・」

葛西さんが上がった時は皆さん諦めモードが入ります。
なんせ久保田の麻雀の師匠ですから腕前は折り紙つきなのです。

「で?おっちゃんは何を命令したいんだ?」

振り込んだことで不満面な時任はふてくされながらも尋ねてみました。

「そうだなぁ・・・」

考えて無かった葛西は
暫く思案した後でこんな希望を言い出した・・・


* * *


30分後の久保田家


「あ、そこはもちっと右」
「ここらへんか?」
「よしよし・・・イイ感じだ」
「へーへー」
「あー足は力入れてやってくれ、って入れすぎだっ!」
「おっちゃん文句が多いぞ!」
「まあいーじゃねーか、たまには年寄りを労わるもんだぜ?」
「うー」

寝そべる葛西を時任がマッサージしていた。
葛西の希望は「時坊に肩を揉んで欲しい」だったのです。

「何で俺だけが・・・」
「ムサイ男どもにゃされたくねーからな」

確かに時任はムサクないですね(笑)、んじゃ鵠さんはどうなんでしょう??
・・・妖しい雰囲気になりそうですね・・・

「にしてもおっちゃん硬いなー、ごりごり言ってんじゃん」
「年だしなー」
「毎日揉んだ方がいいんじゃね?マッサージ器とか買えば?」
「父の日にでも買ってくれ」
「へーへー」

ソファーでは文句を言いつつも実は嫌がってない時任とデレーっと極楽気分を味わってる葛西とで、ほのぼのとした光景を繰り広げていた。
その一方、

「あの2人仲いーねー」
「葛西さんは昔っから時任を猫可愛がりしてるし、時任も葛西さんには懐いてるからね」
「私には未だに距離を置くんですよ?猫が警戒するみたいに」
「他意は無いけど猫が獣医に警戒するように反射的になっちゃうみたいよ?」
「分かってはいますけど寂しいものです。・・・次回勝てたら私もマッサージを頼みましょうか、慣れてもらうのにいいかもしれません」
「あーいいかも、俺もトッキーにマッサージしてもらいたいなー」
「・・・俺に勝てたらね?」

にこやかに笑う鵠とニヤニヤ顔の滝沢そして若干物騒な雰囲気を撒き散らした久保田の3人はテーブルで酒を飲みながらお節をつついていた。翔太は原稿があるので早々と退散したようです。
あっちほど和やかではないですがそれなりに楽しく飲んでる様子です。

「にしてもあんなに仲いいとさ、いずれ一緒に住みたいとか言いだすんじゃん?」

滝沢が爆弾発言を落とした。

「・・・それ、2人には言わないでね?」

ただでさえ小姑が下に住んでてうるさいのにこれに舅まで加わったらたまったもんじゃない。
でも愛しい嫁に言われたら拒否することは難しい。
はぐらかしてもいずれ承知させられるに決まってるのだ。
せめて、出来るだけ思いつかないように祈るしかない。


新年早々、若夫婦の愛の巣の危機か!?

楽しそうな嫁と舅を余所に、旦那には危機感を感じさせる年の始まりでした。





『勝者○○編』
 
葛西&時任の仲良し親子推奨!大好きです!そしてまたしても旦那をいじめてしまった・・・久保田ごめん!次こそは美味しい思いをさせてあげるから!!!次の久保田編でラストです。

2007.1.27
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