7年後 新年麻雀大会 - 3 - | ||
「ツモっ!」 「「「!!!」」」 「一盃口にリーチで門前自牌で3翻!」 高らかに宣言したのは翔太だった。 「うううーーっ負けたっ!」 と悔しそうにする時任 「やられたな・・・」 苦虫を潰したような顔をして葛西は煙草を咥えた。 「ツモで上がられちゃー仕方ないよね」 と大して悔しくもなさそうに久保田が呟く。 「へー、少年やるねぇ」 感心したように言ったのは滝沢。 「ふふふ、じゃあ何か一つお願いをきいてあげないといけませんね」 にこやかに鵠が話しかける。 「で?翔太、何をお願いしたいって?」 「・・・実は・・・・」 * * * 1時間後、一同は303号室の翔太宅へ来ていた。 そして何をしているかというと・・・ 「久保田さんお願い!ここの鉛筆の下絵を消しゴムで消してくれる?」 「・・・はいはい」 「鵠さん、この細かいトコ塗れます?」 「ああ、大丈夫ですよ」 「滝沢さん、ここ線引いてくれる?」 「あいよー」 「えーっと・・・新木さんでしたっけ?ここの×印のとこだけ塗ってもらえます?」 「・・・なんで俺が・・・」と呟きつつも受け取って作業をし始める。どうやら葛西の身代わりらしい(笑) 実は皆で翔太宅に来て原稿のアシスタントをしていた。 対戦中に編集さんから電話が掛かってきたのは緊急の仕事の依頼だった。 予定してたページの漫画家さんがお節の海老にあたって緊急入院したらしい。その分まるまる空いてしまうので次号用に準備を進めてた分を早急にあげて今回に回せないかという相談だったのだ。 まだまだ新人なので断れるはずもなく・・・今に至るのであった。 「ほ〜、漫画ってーのは描くのに手間ぁかかるもんなんだな」 「そうそう、鉛筆で下絵して、ペンでなぞって、黒く塗ったり白く塗ったり、あとなんかトーンとか言うのも張るし思った以上に面倒なんだよなー、翔太んとこで初めて知った」 葛西と時任はのんびりと皆が作業してるのを眺めていた。 何故この二人が参加してないというと、いわゆる戦力外通告を受けてるからだった。 実は時任は以前に翔太を手伝おうとして原稿を破ってしまったことがあった。それ以降原稿接近禁止令を言い渡されていたのだ。葛西は普段の事務作業すら新木に押し付けるほどの事務作業嫌い(+老眼で難しい)なので身代りに新木を差し出していた。 久保田は器用だし、鵠は書道の心得があるし、滝沢は編集の仕事をしていたことあるし、新木は事務作業に慣れてるし葛西よりかはましということで・・・。 「すいませんっすいませんっ!漫画家友達でアシスタントしてくれる人は皆今日まで帰省してるんで捕まえられなかったんです!今日の12時までお願い致します!!!」 「・・・低姿勢なわりにはキッチリ12時までコキ使う気なんだな」 「あいつ締め切り前は人間かわんだよな」 「いい根性してんぜ、さすが小姑だな」 「小姑?」 「誠人が言ってたぞ、うちの下に時任の小姑が住み始めたって」 「小姑?」 「自分の嫁の兄弟で口うるさいやつを小姑って言うんだよ。ぴったりじゃねーか? 「・・・確かに翔太って久保ちゃんにはちょっとキツイかもしんねー」 「ははは、やっぱりな」 「って俺が嫁かよっ!」 「じゃ誠人が嫁か?俺はどっちでもいーけどよ」 「・・・気持ち悪ぃ」 「だろ?」 「・・・むぅ」 「俺は時坊が誠人んとこにに来てくれてホント良かったって思ってるからな。これからも誠人を頼むぞ」 「おっちゃん・・・」 嫁と舅はのんびり和やかです。 けれど部屋の中央では・・・ 「これお願いします〜〜!」 翔太の切羽詰った声が響き和やかとは程遠いです。 こうして新年麻雀大会は翔太の優勝で終わり3日の夜が更けていきます。 今年は小姑が大きい顔する年になるかも?(笑) 『勝者○○編』 |
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すいません!すいません!鵠さんにアシスタントなんかさせてすいません!!! えーと、7年後シリーズは基本的に翔太と時任が美味しい思いをすることになってます。それ以外はちょっと微妙です。滝沢さんほとんど出てなくてゴメンよ!でも久保時サイトでこれだけでははあんまりだと思ったので勝者編を時任・葛西・久保田分も考えました。そっちで少しはニマニマ笑ってもらえればと思います・・・(逃) この元ネタは漫画編集業界の友人です。『原稿が遅れてて正月明けが怖い・・』の一言で思いつきました。彼女は正月明けは毎日午前様です。ご愁傷様・・・ 2007.1.26 |
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