7年後 新年麻雀大会 - 1 - | ||
※皆で麻雀大会をしますので麻雀ルールを知らない方は全く面白くないかもしれません。なので簡単ですが麻雀ルールを書いてみました。良ければご参考までにどうぞv → 麻雀の簡単なルール |
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1月3日 午後1時 僕は同じマンションの久保田さんの部屋の前に来ていた ピン、ポーン バタバタバタ ガチャッ 「よっ翔太!明けましておめでとうな!」 「明けましておめでとう。今年もよろしくね」 「こっちもな!、ま上がれよ」 「うん、お邪魔しまーす」 頻繁に来てるので勝手知ったる感じだけど一応挨拶は欠かさない。 中に入って玄関口を見ると靴が多数あった。 もう皆揃ってるみたいだ。 「これ母さんからお節のお裾分け」 「お、サンキューな!今年はいろいろ揃ってるぜー、もう昼飯食ったか?」 「ううん、まだ」 「俺も、二人で食おうぜ」 「?他の人達は?」 「・・・見りゃわかる」 そう言ってリビングのドアを開けた そこにはソファを隅に寄せてこたつを置き、その上で麻雀をやっている4人がいた。 3人がタバコを吸ってるせいか、白い煙が天井を覆っている。 ・・・雀荘みたいだ 「おーい、翔太が来たぞー」 「こんにちはー」 4人が手牌から顔を上げてこちらを見た。 渋い燻し銀のおじさんは久保田さんの叔父さん、髪の長い人はたしか久保田さんの知り合いでお医者さんだったかな?、もう一人のアゴ髭の人は・・・うーん、覚えが無い。どっちにしろ普通の職業っぽくない人だ。 「いらっしゃーい」と片手を上げたのは久保田さん 「よお、噂は聞いているぞ。にしてもでっかくなったな」と葛西さん。憶えててくれたらしい。でも噂って・・・? 「初めまして、鵠といいます」と髪の長いお医者さん。 「俺は滝沢ね、タッキーとよんで♪」とアゴ髭さん。 「こちらこそ初めまして、飯塚翔太です」 お互いペコリと会釈をして簡単に自己紹介を済ませると、4人は再び手牌に集中し始めた。 なんだか白熱してるらしい… 「翔太ー、そっちはほっといて食おうぜ!」 「うん、えーと…僕達混ざんなくていいの?」 「やめとけ、あっちは玄人の賭け麻雀組、あそこに混ざったら丸裸にされちまう。ほんとなら俺とお前ともう一人で賭け無し素人3人麻雀する予定でさ、そんで久保ちゃん組と俺らの組のそれぞれ上位2人で決定戦やるはずだったんだぜ。でもそいつが来るの遅くなるっつーからしょうがねえんで俺様達はあっちが終わるの待ってるしかねーの。終わったら決定戦で勝負しよーぜ」 「ふーん、分かった」 「ま、それまで昼飯でも食ってよーぜ」 「うん」 空いてるテーブルの上には既にお節、お惣菜、おつまみ、日本酒やビールが用意されていた。 昔と違って小さなテーブルではなく伸ばせば6人くらい座れるテーブルに変わっているので余裕で僕のお節も置ける。 誰か妻帯者でもいるのかいかにも手作りっぽいお惣菜もあって美味しそうだ。 うーん、結構意外だ。もっといかにも男同士の飲み会っぽっくなると思ってた(笑) 「ビールでいーかー?」 「うん」 「んじゃ、かんぱーい」 「かんぱーい」 カチンッ! 「あ、お前の母ちゃんの卵鰻巻き美味い!」 「あ・・・それ俺が作ったの」 「げぇっマジかよっ!今度うちでも作れよっ!・・・んじゃこっちの栗きんとんは?」 「いーよー、きんとんは母さん作、美味しいでしょ?」 「おう、甘すぎなくて美味い。これなら俺でも食える。きんとん久保ちゃんが好きなんだよなー、少しとっといてやっか」 「そのほうがいいんじゃない?(うわ〜年始早々に当てられちゃったよ・笑)」 「こっちはあのアゴ髭の奥さんからの差し入れ。うめーぞ」 「あ、軟骨入りつくねだ。ビールに合うよねー」 「あんなアゴ髭だけど結構可愛い奥さん見つけてんだから世の中不思議だよなー」 「アゴ髭・・・滝沢さんだよね。何してる人?」 「フリーライター、専門は芸能関係らしいけど色々なルポとかも書いてるみてー」 「あ、そんな感じ。鵠さんはお医者さんだっけ?」 「モグリだけどな。本業は薬屋」 「(モグリ・・・)今更だけど濃いーメンバーだね」 「かもな」 その濃いーメンバーの様子を伺うと・・・ 麻雀卓の周囲だけなんかこう怖いオーラが漂ってるような気がした 漫画で言うなら渦巻き状の感じだ 元ヤクザの雀士と刑事と記者とモグリ医者の麻雀勝負なんて普通有り得ない なんかのネタになりそうだよね 後でどんな打ち方してるか良く見てみよう 「あっちはあとどのくらいで終わるの?」 「あと1時間くらいじゃねーか?」 「誰が勝つと思う?」 「んー・・・去年は確か久保ちゃんが1位だったかな?、でもその前はおっちゃんが勝ってたから今度はおっちゃんじゃねーか?やっぱりあの2人が一番強ぇかんな」 「毎年やってんだ」 「最初は久保ちゃんとおっちゃんと俺の3人だけだったんだけどいつの間にか人数が増えて恒例になっちまったんだよなー」 「へー・・・」 「んでもあいつらの中に混ざるとつまんなーから、二組に分かれることにしたんだよ」 「それ大正解、あそこに混ざるのは遠慮したいな・・・」 「だろ?」 そうして僕らは飲んだり食べたりしながらのほほんと玄人組が終わるのを待っていた。 麻雀卓の4人を見ていると、まるで4匹の怪獣が静かに唸りあっているようだ。 あ、ワンダーアームの悪役4人集が集まったらこんな感じかな?(笑) やっぱり久保田さんて悪役っぽいよなー・・・、あ、最初は悪役で後で寝返るってのはどうだろう?うん、ぴったりだ!最初は幹部であんな風に4人で作戦練ったりしてたけど、時任兄ちゃんに絆されて(というか惚れて?・笑)寝返るのがいーかなー・・・ 「お、これでラストだな」 昔から暖めていた久保田さんと時任兄ちゃんがモデルキャラのワンダーアームの構想を練っていたらいつの間にか勝負が進んでいたらしい。あと1回で決着がつくようだった。 「相変わらずクボッチは強いな〜」 「一応プロだし?」 「葛西さんも強いですよね、刑事より向いてるんじゃないですか?」 「おうよ、定年退職したら鞍替えするつもりだしなー」 他愛のない話をしながら、ジャラジャラと麻雀牌を混ぜ、トントンと組み上げて場を整え、それぞれ自分の手牌を取っていく。最後の勝負なせいか、なんとなく場の緊迫感が上がっていくのを感じる。 見てるこっちも緊張してきた・・・ 4人の手配を覗くとすごい役だったり、渋い役だったり、華やかな役だったりとホント様々で・・・学生同士の麻雀とはレベルっていうか世界が違っていた。 しかも会話が凄い・・・ 「おい、誠人よー、お前さっさと萬子捨てろよ」 「そう言われて捨てる訳ないっしょ?」 そう話す2人の手配には萬子は無く索子と筒子が揃っていた。持ってないのを承知の上での牽制ってやつかな?・・・一体どこまで分かって言ってるのだろう・・・? 他の2人も負けてはいない。 「リーチ」 「おや、鵠さん早いね」 「ふふふ、そうでもないですよ?」 鵠さんは字牌待ちのリーチをかけたみたいだ。一個前の順番にいる滝沢さんが切り捨てるだろうと予想したっぽい。確かに滝沢さんの手牌には余分な字牌があった。でもすかさず滝沢さんは数字牌を捨てていた。あそこで字牌を捨ててたらリーチ一発とられてたよな。自分ならまず避けられそうにない。 1人リーチがいるけれどもロンされることなく順番が進み牌が場に捨てられて行く。 残ってる場の牌はあと20個くらい、もうそろそろ上がる人が出そうな頃だった。 今のところ勝っているのは久保田さんと葛西さんがほぼ同点くらいでトップ、その次に鵠さん、滝沢さんの順序だった。それでもトップとの差が5千点くらいしかないので逆転の可能性は十分に有る。 「リーチ」 葛西さんが渋い声でリーチをかけた。Wリーチだ。 「ここで捨てるのは緊張してしまいますね・・・」 鵠さんが全く緊張してなさそうに、にこやかに言いながら字牌の中を捨てた。 ・・・セーフ 「さーて、どうすっかねー」 軽い調子で呟きながら滝沢さんが萬子の2を捨てた。 セーフ・・・ 「振り込んじゃったらやだもんねぇ・・・」 今度は久保田さんが字牌の中を捨てた。 既に鵠さんが捨ててたのでもちろん安全牌、セーフ そして再び葛西さんに順番がまわってきた。 場から牌を取り上げて、チラリと見る。 そして、ニヤリと笑った。 「・・・ふふん、ツモだ」 そう言って自分の手牌を広げる。 組み合わせの中に全て1か9が入るジュンチャンヤオチュー ツモなので3翻、しかもドラと裏ドラがそれぞれあるので5翻の満貫だ! にしても・・・役といい、上がり方といい・・・渋い・・・渋すぎる・・・ 「・・・ツモで上がられるとは・・・参りましたね」 「葛西さんてば引きが強いからねぇ」 「くそ〜っ今年も負けたっっ」 「ま、実力の差だな」 勝負はトップが葛西さんで、久保田さん、鵠さん、滝沢さんの順序だった。 滝沢さんだけ悔しそうにしてるけど、落ち着いてるように見える鵠さんと久保田さんも実際はすっごく悔しいんだろうなー、なんとなくオーラが渦巻いて見えるよ。怖いなぁ(笑) 「今年も久保ちゃんとおっちゃんかー、んじゃ翔太、やろうぜ!」 ニッカリと笑った時任兄ちゃんが僕に話しかけた。 ・・・そうだった、自分もやるんだった。 あの二人とやるの? 大丈夫か自分・・・ちょっと・・・いや、かなり不安だ・・・ 『舅vs旦那vs嫁vs小姑』編へ続く |
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パラレルの『みんなで麻雀』が意外に好評だったので調子こいて7年目で書いてみました。ついでに麻雀ルールを知らない人用に簡単なルールをつけてたら力尽きて決定戦まで書けませんでした。微妙なトコで続きます・・・。でも葛西さんが渋い役で勝てるのが書けて満足でした! 2007.1.24 |
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