7年後 鵠さんの12月31日

中華街東門の近くにある東湖畔は年末の慌しさとは無縁のようにひっそりと営業していた。

ガラッ

お客なんて珍しいと思いつつ見やったら買い物袋を提げた久保田くんだった。

「おや、いらっしゃい」
「ど〜も〜」
「今日はお一人ですか?」
「そう、年末の買出しにね。時任は混んでるとこ嫌いだから俺だけ」
「ふふふ、相変わらずですね」
「どっちのこと?」
「”二人とも”ですよ」

お願いしてしまう時任君も、それを頷いてしまう久保田君もどっちもどっちです。

私の茶飲み友達だった一風変わった少年は成長しいつのまにか青年になっていた。しかも人生の伴侶ともいえる存在を見つけ一緒に暮らしていた。

飄々とした人嫌いだったくせに人間変わるものですね
月日が過ぎるのは早い、なんてつい考えてしまう。

「何を買いに行ってたのですか?」
「○平堂のチャーシュー、時任が今はまってるんだよね」
「あそこのは美味しいですからね」
「まぁね、あと頼んでいたお節の受け取り」
「今年は中華風お節なんですか?」
「うん時任が今中華にはまってるから、でも和風と中華の2段重ね。やっぱり栗きんとんは外せないっしょ」
「私は黒豆が好きですね」
「あぁそれも入ってる。そうそう、また3日に新年麻雀会するけど鵠さん来る?」
「葛西さんも来るんでしたら伺いましょうか」
「うん来るから来て?(笑) 去年から参加してたっけ?鵠さんが麻雀好きだなんて意外だったよね」
「そうですか?あれこそ情報戦ですから好きなんですよ。ただなかなか気軽にやる機会が無いので葛西さんや久保田君とやるのは楽しみです」
「うん、俺も楽しみ。じゃ帰るから、良いお年を」
「はい、良いお年を」

ガラガラ

猫の尻にしかれた大型犬が帰っていく。
あんなに尽くすタイプだとは思いませんでしたよねぇ・・・
ちょっと呆れながらも微笑ましく思う

茶飲み友達から仕事仲間へ、麻雀仲間へと、時とともに変わっていく関係

月日が経つのも悪くは無い

そんな風に思える変化だった


新年までまであと数時間

年末年始でも東湖畔は何時もと変わらず営業中

1月3日のみちょっとお休みするそうです






NEXT 二人のカウントダウン
 
真面目な鵠さんも初書きですv麻雀好きかなーと疑問に思いつつ私的設定捏造。
他に鵠さんが久保田家に来る理由が思いつかなかっただけなんです。イメージじゃなーいと思う鵠さんFANすいません(汗) 彼なら碁とかも似合いそうですよね。
にしても鵠さんて何歳だろう?何年経っても外見変わって無さそう・・・
次でラストですー

2006.12.30
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