7年後 翔太くんの12月29日

ピンポーン♪

ガチャッ

「翔太ー、生きてっか?」

時任兄ちゃんがマックの袋を持って立っていた。
ド修羅場中の僕のトコに陣中見舞いに来てくれたらしい。

「・・・仕上げるまでは生きてるよ」
「・・・・」

時任兄ちゃんの顔が固まっている。1週間くらい殆ど寝てない上に着替えもしたおぼえがない。風呂は・・・何時入ったっけ?まあ自分でもすごい形相と格好してるとは思うけどそんなん構っちゃいられないのだ。というか兄ちゃんに会うまで身嗜みなんて忘れてた。
12月は年末進行で締め切りが何時もより早くて毎年死ぬ思いをしながら仕上げてるのが常だ。普段ですら大変なのに更に日にちを繰り上げるのだから現場は悲惨な状況になる。
原稿提出の後は編集さんやその後のデザイナーさんたちが更に大変なので文句は言えない。ただ人間止めたくなるぐらいは許して欲しい・・・。

「あー、まだまだ大変そうだな」
「うん、もう少しなんだけどね・・・あと12時間くらいで終わるかな?・・・多分ね・・・ははは・・・」
「お前正月はどうすんだ?実家に帰るのか?」
「うん、無事に終われば実家へ顔を出そうと思ってる。でも3日には帰ってるかな、次の締め切りあるしね・・・」
「そっか、実は3日に皆で集まって鍋して麻雀すっからさお前も来いよ。
 あ、金は賭けねーで別のモン賭けるから安心しろ。プロ相手じゃ勝てっこねーかんな」
「へ〜、面白そうだね。じゃ3日に行くね」
「おう、待ってるぜ。んじゃ邪魔したな。よいお年を!」
「うん、良いお年を」

時任兄ちゃんは新年会のお誘いと年末の挨拶に来てくれたらしい。
皆で集まって鍋と麻雀大会なんて久保田家らしい新年会だ。
久保田さんはプロの雀士らしいとは聞いてたけど実際やってるとこを見たことが無い。
是非見てみたいもんだ。

「・・・年末なんだよなぁ」

原稿が終わらない限りは年越しも年始もないのだ。
何とか明日の締め切りに間に合わせて大掃除までしたいところだ。

「よし、もうひと頑張りだ」

一言つぶやいて自分の仕事場へと戻る。


今年が終わるまであと3日


翔太くんが穏やかな年越しを迎えるんはまだまだ遠そうです





NEXT 12月30日
 
やっぱりこの子は欠かせないということで2番バッターは翔太くんでした。
編集系の仕事してる人は大型連休前は大変ですよね。友人は毎日午前様です。関係ないですが翔太くんの本業は大学生なので試験などもあるのだろうね。この時期に試験と締め切りと重なったら地獄だろーなー(他人事のよう・笑) 頑張ってー

2006.12.30
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