お気に召すままに5 | ||
ガコッ! 今ので16人目だったかな? 「前から好きだったんだ〜」 ゴツイ男が叫びながら真正面から覆いかぶさろうとしてきたので斜め横に避けて死角に入り肘でわきを打つ。「うっ!」と呻いた隙にパンを奪い一丁上がりだ。 『これで17人目か・・・思ったより多く来ちまったよなー、せいぜい10人くらいだと思ってたかんな。ま、俺様の美貌ならしょうがないか!』 悦に入りつつ背後から覆いかぶさってきたので腰を落として相手の鳩尾に肘を入れ戻した拳で顔を打つ。そして取り落としたパンを拾う。 『にしても挑戦権をパンにしちまったのは失敗だったかも、ただ倒すより面倒くせぇ・・・ 朝飯食べないででてきちまったから腹減ってたからなぁ』 後悔しつつも左から殴ってきた奴を一歩下がって避けてその腕を取り後ろに捻りあげてパンを奪う。 18人目・・・ 最初の頃の挑戦者は体当たり勝負で真正面から来ることが多かったが、まだ残ってる挑戦者達は時任が疲れるのを待ってたような連中だった。時任が疲れた頃を見計らいながらじりじりと時任の隙を狙い始めた。目が血走り異様な雰囲気である。 一人が時任の死角から襲いかかり時任の左腕を取るり動きを止めるのに成功した。挑戦者はそのまま腕を捻りあげようとするが時任は身を捻って取られた腕ごと相手の懐に飛び込み手の平で相手の顎を打ち足を払う。立ち上がる隙を見せずパンを奪う。 時任は派手な力任せのアクションをしがちだが多人数の乱戦となると最小限の力で相手の力を利用しつつ倒そうとする。武道を嗜んでる橘が見たら経験者かと錯覚しそうになる技が次々と繰り出される。しかも的確に急所を狙って。 こうしようと計算するのではなく反射神経と勘で勝手に体が動くようだ。 格闘センスで言ったら久保田をも凌ぐかもしれない。 見事である。 とはいえさすがに多勢に無勢。 時任の顔に疲れの色が見えてきた。 体のキレも鈍ってきた。 右後ろから殴ってきた奴を体を回転させて避け背後に入り背中に一発入れるが急所を外したのですぐ体勢を立て直された。反撃の隙を与えずもう一発入れて崩れた所でパンを奪う。 『19人目・・・げーあと10人以上もいるじゃんか、あー・・・腹減った』 ムカついた気分のまま力任せに前にいた奴をぶん殴る。顔面にクリーンヒットし殴られた挑戦者はそのまま仰向けに倒れた。起き上がりそうに無いのでパンはそのまま放置する。拾うのが億劫になってきたのだ。 『20人目・・・ったくなんでこんなことになっちまったんだか。もとはと言えば久保ちゃんが俺に隠し事するのがいけねーんだよっ。・・・久保ちゃんどうしてっかな・・・』 ハア、ハア・・・時任の息が上がってきた。 「さすがの時任もこの人数相手じゃキツイみてーだな」 「もうそろそろ観念するんだな」 「男は久保田だけじゃねーって分からせてやるぜ!」 もうそろそろ落とせると思った連中は鼻息を荒くして時任に詰め寄る。 残るは12人、中には3人でタッグを組んでるやつらまでいた。 「どいつも、こいつも訳わかんねーこと言いやがって・・・なーにが観念しろだぁ?俺様が負けるわけねーだろ?ごちゃごちゃ言ってねーでかかってきやがれっ!!」 挑戦者たちの間にギラリと剣呑な空気が走る。時任も体勢を立て直し改めて臨戦態勢に入る。 そんなときに 「挑戦者番号33番、久保田誠人参戦しまーす」 久保田の緊張感の無い声が響き渡ったのだった。 次へ |
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やっと書けました〜時任の乱闘シーン!これが書きたいがためにこの話を考えました。ふふふ、元気に暴れる時任が書けて満足です。本音を言えばもうちょっと書き続けたいくらいです。因みに時任の動きは合気道を元にしてます。華奢で体が軽そうな時任にはぴったりだと思うんですよねー。私は大学の頃4年間合気道部にいました。今でも1年に1回は道場に顔を出します。今は下手になりましたがガツガツ関節技とか決めるのが好きでしたv(鬼) さて次で決着をつけますよー 2006.12.14 |
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