お気に召すままに 1
(※彼らは永遠に高校三年生だと思ってください・笑)


12月に入ると町ではクリスマスのイルミネーションが増え一気にクリスマスムードがただよう。荒磯高校でもあちこちでクリスマスを誰と過ごすかパーティをするかなどの話題で盛り上がる。放課後の執行部も例外ではなくクリスマスの話題が持ち上がっていた。

「今年のイブは日曜日なんだよなー、またパーティする?」と相浦
「あ、今年は家族でスキー行く予定になってるの」と桂木
「sorry、今年は海外の親戚がこっちに来るので集まるので家でパーティする予定なんです」と松原
「俺も今年は家を手伝わなきゃならんのだ」と室田

どうやら皆さん予定があるらしい。でもみんなデートじゃないのね・・・(哀)

「じゃあ今年はパーティ無しな。じゃあ俺もゲームフェアでも行こうかな・・・時任は?」

聞くまでもないと思いつつも一応聞いてみる。

「何も予定無い、久保ちゃんどっか行くか?」
「あー、ちょっと用があるんだわ、俺」
「「「「えっ!!」」」

驚く時任とギャラリー達、それも当然、久保田が時任以外とクリスマスを過ごすなんて誰も想像だにしなかった。

「でも9時ごろには家に帰るよ」
「どこ行ってんだよ」
「んー、ちょっとした野暮用?」
「・・・生徒会からまた何か面倒ごと言われたのかよ」
「あ・・・バレタ?」
「久保ちゃんが歯切れの悪い言い訳する時ってーのは大抵生徒会が絡んでんだよっ!」
「あー・・・ごめんね?どっか行きたかった?」
「べーつっに!どうせ二人でいても家でごろごろするだけだしなっ久保ちゃんがいてもいなくても変わんないもんなっ」
「なるべく早く帰るね」
「いーよ、ゆっくりしとけってのっっ」

時任は拗ねて頬を膨らませそっぽを向き、久保田は頭をボリボリかいていてちょっと困った様子だ。いわゆる”痴話ゲンカ”ってやつにしか見えないのでそんなん他所でやってくれって感じである。でも時任が拗ねるのも無理は無い訳で・・・

「じゃあ時任うちのパーティに来ませんか?ご馳走ありますよ?」と松原
「・・・いい」(時任君そっけないです)
「じゃ、じゃあ俺と一緒にゲームフェア行くか?新作発表あるぜ?」と相浦
「パス」(時任君却下です)
「・・・うちでバイトするか?」と室田
「ぜってー嫌」(まあ無理もないですね)

執行部の皆さんが助け舟を出しても一向に乗る気配が無く逆にどんどん機嫌が悪くなっていってるようである。

「じゃあどうする?あんたが女の子だったらスキー誘えるんだけどねー・・・」

ちょっと心配げに桂木が時任に尋ねた。

「・・・デートする」
「「「はあ?」」」」
「クリスマスデートしてやるっての!!」
「え〜〜っ!!ちょちょっとどうしたのよ時任っ」
「落ち着けよっ、そんなんらしくねーぞっ(つーか後が恐いから止めてくれっ!!)」
「大体誰とデートするんだ?」

時任はビシっと久保田を指差し宣言した。

「ふんっ俺様ほどの美少年ならイブを一緒に過ごしたい子なんて一杯いるはずだっ!楽しくデートしてくっから久保ちゃんは帰ってこなくていーかんなっザマーミロっての!」

時任はふははははと高笑いしながら鞄を持って部室から走り去っていった。
部室に残された面々は時任の思い込みの激しさを知ってるだけに今のは本気だろうなあと頭が痛くなりながらそれを見送る。

「・・・完全に拗ねたわね。この分だとホントに誰かとデートしかねないわよ?早く帰ってご機嫌取りしたほうがいいんじゃない?」
「かもね、んじゃお先ー」

全然焦った顔をしてないけど内心『何で釣ろうか?』と真剣に思案しながら久保田は帰っていった。

「・・・なーんか一騒動ありそうよねぇー」
「「「同感」」」

そして桂木の予感は大抵外れないのである・・・





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1000ヒットキリリクお題「荒磯話しで紛らわしい会話付」です。全6話+おまけと予想外に長くなってしまったので手直ししつつ3回ほどに分けてupしていく予定です。暫しお付き合い下さいませv

2006.12.14
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