10年目お題 Ten years before | ||
ピンポーン♪ チャイムが鳴ったと同時にポストへ一通の手紙が入ってた。 「なんだこりゃ?」 表紙には大きく『指令』と書いてあり中には 『10年目を迎えたお二人で「10年目バトン」を答えて下さい』 と書かれていた。 「久保ちゃん、変なのが来た」 「ああ、お題ね。憶えてない?昔よくやったじゃない」 「そういえばやったよな。でもすんげー前だよな」 「今更やるとは思わなかったけどね」 「俺も」 「んじゃやりましょか」 「あいよ」 Q1.10年前に愛していた人を、今でも一番愛していますか? 「愚問っしょ?」 「まあな」 「でも10年前って会ったばかりの頃だからまだ恋人じゃなかったよね。時任ってどの位から俺のこと意識した?」 「・・・告白された時?」 「やっぱりそれまで範疇外だったのね・・・」 「分かってんなら聞くな。男同士なんだからしょうがねーだろ?一緒にいたいと思うのがせーぜーだっつの!」 「お前ってばニブイから苦労したよね・・」 「手ぇ早すぎるお前に言われたかねぇ。告ってすぐ押し倒しやがって・・・」 「ごちそう様でした」(合掌) 「ごちそう様言うな!!」 「じゃあ何て言うの?」 「・・・あーいうのはどっちがどうとは言わねーんだよ」 「あ、なるほど・・・(お互い様という事ね)」(親父笑) 「次だ次っ!」 Q2.10年前に頑張っていた仕事を、今も続けていますか? 「麻雀の代打ちバイトなら今もやってるよー、鵠さんとこも少しね」 「雀士が本業だよな?」 「うん、やっぱり麻雀が一番好き」 Q3.10年前いつも一緒だった友達は、今も一番の親友ですか? 「俺らのことならメデタク親友から恋人になりましたー」 「恥ずい答え方すんな。でも俺らって親友って感じじゃねえよな」 「まあ確かに」 「親友といったら翔太かな?今でも一番仲良いよな」 「そうだね、お前と仲良いよね・・・」 「久保ちゃんは?」 「親友はいないねぇ・・・鵠さんは茶飲み友達みたいな感じだし・・・強いて言うなら小宮かな?」 「小宮?会ったことねーな」 「うん、もう死んじゃってるから」 「・・・」 「出雲会にいた時の副長で俺の補佐役だったからずっと傍にいたんだよね。人とつるむのは初めてだったけど案外気にならなくて気に入ってた。まあイロイロあって死んじゃって、出雲会抜けるきっかけになったんだよね」 「・・・そっか」 「今も生きてたら親友ってのになってたかもね」 「残念だな」 「うん、残念」 Q4.10年前泣いた映画で、今でも泣けますか? 「10年間っつったら何観てたっけ?」 「それ以前に映画観て泣いたことあったっけ?」 「憶えがない」 「俺も」 Q5.10年前楽しみだった誕生日は、今も楽しいものですか? 「時任と会ってから楽しみになったよね、誕生日って」 「そっか?」 「うん、家では祝ってくれる人なんかいなかったし、葛西さんは祝ってくれたけど忙しい人だから間に合わなかったりしたし、俺自身忘れてることも多いし。お互い柄じゃないしねー」 「ふーん・・・」 「今は楽しみよ?誕生日(普段なら嫌がるお願いしても聞いてくれるしねー・笑)」 「良かったな(なんか妙な含みを感じるが・・・)」 「うん、時任は?」 「お前と一緒」 「うん」 Q6.10年前星を数えた夜空を、時には見上げていますか? 「夜の散歩は今も行くよね」 「おう、夜出歩くの好きなんだよな、なんとなく」 「猫の習性?」 「猫言うな」 「でもあんまり夜空って見上げないなあ」 「そっか?俺は結構見るぞ」 「俺は夜空よりもっと面白いもの見てるからね?」 「ふーん(何が言いたいか分かるので無視)」 「・・・(何を?お前を、とやりたいが乗ってくれないので寂しい)」 Q7.10年前にしていた恋のように、今もときめくことはありますか? 「はい、今もドキドキ(ムラムラ?)してまーす」 「あ〜・・・いちおう俺も・・・」 「何で”いちおう”なのよ」 「だってなあ・・・今更だしあんまりない」 「まだ20代なんだし枯れるには早いっしょ?」 「もう20代なんだから少しは枯れろ」 「無理」 「即答かよっ」 Q8.10年前になりたかった自分に、今なっていますか? 「これといってなりたかった自分てのが無かった気ぃする」 「俺も、あの頃は今を生きるので精一杯だったもんね」 「そうだな」 「ただいつか二人っきりでのんびり生きていたいとは思ってたかな?」 「それは殆ど叶ってるよな」 「うん、お蔭様でね」 Q9.10年前に探していた自分の居場所は、みつけられましたか? 「おう」 「うん。でもどっちかと言うと居場所を見つけたのが10年前だよね?」 「そだな」 「出会ってすぐは気付かなかったけどね」 「・・・同じく」 Q10.10年前の正義感や情熱を、今も持ち続けていますか? 「勝てば官軍、俺様が正義だってーの」 「時任らしいやね」 「久保ちゃんは?」 「正義感はー・・・元から無いかな。(愛の)情熱は変わらずあるけど?」 「はいはいー」 Q11.この10年間、精一杯生きましたか? 「俺にしてはこの上なく頑張りました」 「おー、色々あったよな」 「今が良ければそれでよし」 「ホントにな」 Q12.10年前の自分に会ったら何と語りかけますか? 「何だろ、ざまあ見ろ?」 「何よそれ」 「出会ったばっかの頃は色々不安だったし逃げてたから不幸面してた気ぃする。だからそんな自分に『んな顔してても幸せになってやったぜザマーミロ!』って大笑いしてぇ」 「なるほど」 「久保ちゃんは?」 「んー・・・あんま思い出したくないしなあ」 「そなんか?」 「うん、あの頃は一杯一杯で結構恥ずかしいこと考えてたから。会ったら『恥ずかしい奴』って笑っちゃいそう」 「二人して昔の自分を笑ってんのな」 「今が幸せならそんなもんでしょ?」 「だな」 Q13.このバトンを回したい5人 「いねーよな?」 「うん、葛西さん達が答えるとは思えないし」 「んじゃ俺たちでラストということで」 「そういうことで」 「「終了〜♪」」 答えた後で・・・ 「10年一緒にいても案外知らないことあるな」 「だぁね」 「全部知っちゃったらつまんないしな」 「そお?俺は時任のこと全部知りたいけどね」 「・・・お前は独占欲強すぎ」 「仕方ないっしょ、恋する男心?(ぶりっ子風に)」 「嫉妬深い亭主の狭い心の間違いだろ?(冷たい目で見る)」 「そうとも言う」 「他人なんだから全部知らないのは仕方ねーじゃん。 だから時間かけてゆっくり知ってくのもいいんじゃん?また10年かけてな」 「・・・そうね、まだ時間あるしね」 「そっ!」 「ねぇ、やっぱりスウィートテンダイヤ買わない?ネックレスやバングルとかで」 「いらねー、なんでそんなんやりたがんだよ?」 「目に見える形で年月を残すのもいいかなーって思って、次の20年目に何を渡そうかなとか考えられるのも楽しいし」 「・・・まあな」 「じゃ買いに行こうか、実は目星つけてんだよねー」 「///やだっ!!そんなとこ二人で行ったら丸っきりのホモカップルみてーじゃん!!」 「だって事実だもん」 「そうだけど・・」 「んじゃ行かない?」 「・・・」 時任はむうっとした顔をして黙ったまま出かける支度をしてドアに向かう。 久保田はそれを見て微笑を浮かべながら後に続いてドアに向かう。 時任は『俺も久保ちゃんに何か買おうかなぁ』なんて考えながら 久保田は『時任が付けて恥ずかしく無い物にしてあげよう』なんて考えながら お互いがお互いのことを考えつつ仲良く外に出た パタン こうして二人は幸せに暮らし続けたとさ、めでたしめでたし〜 なんてね? (終) |
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10年に関係するバトンを見つけたので彼らに答えてもらいました。これ以降10年目の話は続きを書かないと思います。最初の10年目が童話の最後の『彼らはひっそり幸せに暮らし続けたのさ、めでたし、めでたし〜』な感じで書いたので。これは付けたしですね。良いお題だったでつい・・・。中間を7年後シリーズで書いてこうと思います。良い突っ込み役がいるので書きやすいです(笑) これで連続更新のラストです。ラストを10年目の二人で飾れて良かったなぁ。 皆様お付き合いくださってありがとうございました〜! 2006.12.8 |
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