□ あなたの一番大事なモノは何? (荒磯ver) □

久保田→久、時任→時
桂木→桂、相浦→相、室田→室、松原→松

 Q、突然ですが執行部の皆さんにお題です。
あなたの一番大事な物を持ってきて下さい。(物限定、ナマモノは×)

久:「ほー、久々のお題だぁね」
桂:「なんでも某放送の『教えて先輩!』ってののパクリみたいよ」
松:「社会で活躍してる人が母校で1日自由授業やる番組ですよね?」
相:「そうそう、それ。感動したエピソードがあってやってみたかったんだって」
時:「それで俺らを引っ張り出すのが腐女子たるゆえんだな」
桂:「そうね」
久:「んじゃやりますか」
皆:「「「おー」」」

 × × ×

相:「トップバッターは俺な!俺の大事な大事なバイオちゃん!」
 そういって相浦が手に掲げたのはノートパソコンだった。
桂:「・・・予想通りというかなんというか」
室:「つまらんな」
時:「いつも持ってきてんじゃん」
相:「あっひっでーな!これは自宅用のやつ!メモリ・ハード・ソフトともに最高水準にまで高め、部品ひとつひとつにまでこだわった我が子ともいえる一品なんだぞ!」
久:「・・・ということは自分で組み立てた?」
相:「もちろん!」
久:「それでもバイオって言えるの?」
相:「外側だけはバイオだからいーの!」
皆:「ほー」「へー」「ふーん」(どうでも良さげな返事)

 × × ×

室:「俺はこれだ」
 そう言って室田が出したのは黒光りした20㎝程度の包丁だった。
相:「室田のマイ包丁ってやつ?」
室:「そうだ」
時:「へぇ・・・すげぇよく切れそう」
久:「うん、よく手入れされてるね」
室:「ははは、実際よく切れるぞ」
桂:「でもこれ室田君が使うには小さくない?」
室:「大きいのも使ってるぞ。これは一番初めに買った包丁でな、もとは30㎝以上あった大きい 包丁だが石で研いでるうちにこの大きさになったんだ」
時:「へぇ~・・・」
松:「一番使い込んだ一番愛着のある一品ってヤツですね」
室:「そういうことだ」

 × × ×

松:「僕はこれです」
 そう言って松原が取り出したのは丈夫で暖かそうな半纏だった。
松:「子供の頃に寒い国へ引っ越した時にグランマが作ってくれた物です」
桂:「ってことは手作り?」
松:「ハイ、風邪引かないようにと作ってくれたんです」
時:「えええ!すっげぇな!」
桂:「刺し子っていうんだっけ?綺麗な刺繍の模様ねぇ・・・」
室:「職人技だな・・・」
松:「縫い物が趣味だったんです」
室:「だったということは・・・」
松:「グランマは去年亡くなりました」
皆:「「「・・・・」」」」
松:「忙しい両親に代わって僕のことを面倒見てくれのがグランマなんです。これは一番大好きだったグランマとの大切な思い出の品なんです」
時:「なるほどな・・・」
(みんなでしんみり)

 × × ×

相:「桂木は?」
桂:「・・・」(もじもじ)
時:「?どうしたんだ?早くだせよ」
桂:「・・・仕方ないわね、コレよ」
 恥ずかしそうに桂木が取り出したのは大振りの金ボタンだった。
相:「・・・制服のボタン?」
松:「うちのじゃないから前の学校のデスか?」
桂:「そう」
時:「へぇ~、お前って前の学校で彼氏いたのか」
桂:「ち・違うわよ!そんなんじゃないの!!」
時:「違うのか?これ第二ボタンってやつだろ?」
桂:「そうだけど…、/////彼氏のじゃないわ」
久:「んじゃ誰の?」
桂:「・・・初恋のお兄ちゃんのボタン」(ボソリ)
皆:「「ほぉ~・・・・(ニヤニヤ)」」」
桂:「隣に住んでたお兄ちゃんから引越す時にもらったの」
皆:「「「へぇ~・・・(ニヤニヤ)」」」
桂:「といっても中学生の頃だからね!もうずっと前の話よ!!」
皆:「「「ふう~ん・・・(ニヤニヤ)」」」
松:「初恋の大事な思い出ってやつですね」

 × × ×

相:「時任は?」
時:「ん~・・・すっげぇ迷ったんだけどよ、コレにした」
 そう言って時任が差し出したのはカギだった。
相:「カギ?」
桂:「家のカギよね?」
時:「おう」
相:「そのココロは?」
時:「大事なもんイロイロあんだけど、コレって一つに絞れなかったんだよな」
相:「あー分る、それ」
時:「んでふと思ったんだけどさ、こういうふうに好きなもんを置いておける家ってのがあればこそなんだよな。家無けりゃおけねーだろ?」
相:「・・・まあね」
久:(それは家が無いという経験のある時任だからこそだ・・・)
時:「だから俺の好きなもん大事なもんがある家が今いっちゃん大事な気がすんだ」
松:「その象徴が”カギ”ということなんですね」
時:「そーゆーこと!」

 × × ×

桂:「・・・で、答えは判ってるから聞かないでいい気もするというか聞きたくないんだけど、久保田くんは?」
久:「えーそんな嫌々聞かないでよ、キズついちゃう」
相:「可愛い子ぶるなよ・・・」
室:「・・・気色悪い」
久:「更にキズつくんですけど・・・」
桂:「どうでもいいからさっさと話しなさいよッ」
久:「んー、コレ」
 そういって差し出したのは時任と同じ家のカギ
皆:「「「「・・・・・・・・」」」」
時:「俺のパクリじゃんか」
久:「最近禁煙禁煙でうるさくってさー、俺みたいなのは困ってるんだよね。ドラえもんが”どこでも喫煙所~♪”みたいなの作ってくれればそれが一番なんだけど、ないから一番気楽に吸える家が一番気軽に吸えて大事かなー、なんて?」
桂:「あんだけ学校でぷかぷか吸ってるくせして何言ってんのよ」
相:「その前にコイツは未成年だ」
室:「うむ」
松:「ですね」
 皆が冷たい目をして久保田を見ていた。

 × × ×

時:「さーって、俺ら帰るわ」
久:「じゃねー」

 ガタ、パタン、久保田と時任が出て行った。そして残された面々は・・・

桂:「もう、あんな適当に言わなくってもいいじゃない。ねぇ?」
室:「まあその”時任が大事にしてるモノ”って言いたいんだろうな」
松:「でも何が出てくるか分らなかったから理由は後づけで適当に言ったということでしょうね」
相:「だよなー、素直に一番大事なものは”時任”っていやいいんだよな」
室:「いや、ナマモノはダメだし」
相:「そか」
室:「それに、あの久保田から直に『一番大事なものなんて時任以外ないっしょ?』なんて聞きたいか?」
皆:「「「・・・・・・・・」」」
桂:「・・・なんかイヤね」
相:「うん、なんか聞きたくねーな」
松:「同感デス」

 あの久保田が皆の前で正直に告白するなんて有り得ない。
 雨?嵐?霰?槍?が降るくらいならいいけど天変地異がおこるんじゃない?
 ・・・怖すぎるからヤメテ欲しい。
 etc etc 皆の脳裏に浮かんだそうな。
 
 ここまで言われる久保田さんって一体・・・。

 判ってはいても聞きたくないことってありますよね?
 そういうことらしいです。

 一方、無意識で傍迷惑な荒磯ご夫婦は仲良く帰路についてました。

時:「俺様の大事なモンには煙はいらねーんだけど」
久:「んー、勘弁して?煙草はどうしたって止めらんないから」
時:「仕方ねーから空気清浄機能付きのエアコンで我慢してやる」
久:「・・・それとっても高くない?」
時:「一番大事なモンなんだからメンテナンスしなくちゃな~、安いもんだろ?」
久:「はいはい・・・」

 こんなふうに旦那さんは奥様の尻にしかれておりました。
 平和でいいですねぇ(笑)


(終)
 桂木ちゃんに初恋の人のボタンを出してもらいたかっただけなんす。TVでは彼氏の写真だったんだけどねー。引越した彼女ならこういうの有り得そうじゃありません?そんで相浦は彼氏じゃないと安堵しつつもちょっと嫉妬してればいーよ。
 書いてたらこれアダプタのパロにもなるじゃんと気付いてその要素も入れたらなんだかまとまり悪くなった気もします。いっそのこと無視すりゃ良かったかなーと思ったけど書き直すのもめんどくて放置してたブツです。まあ小話だからいいかと思って手直ししてupすることに。ちょっとでもほのぼのしてくれれば嬉しいです…。

2008.11.15
2009.1.13妄想文部屋に移動
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