□ ささいな違い □
本日はバレンタインデー
世の中はチョコチョコチョコであふれかえっている。
それはそれでいいんだけど、目の前の光景はちょっと珍しい。
大の男が、しかも特大にでっかい男がバレンタインのチョコ売り場にいるのだ。

「信じらんねぇ・・・」

久保田がバレンタインデー特集のチョコ売り場でチョコを物色していたのだ。
時任は離れた場所でそれを『信じられねー』って顔して見ていた。

「お姉さん、コレとコレって期間限定物だよね?これ全部頂戴」
「ありがとうございまーす」
「うふふ、お兄さんならあたしから上げちゃうのにー」
「ホントー、私が買ってあげちゃおうかしら♪」
「あんがとねー、でも食べたいだけだから」

久保ちゃんはそうあっさり言って売り場から離れてこっちに向かってくる。

「お待たせー」

こっちに手を振ってやってくるがその背後では・・・
『キャー何あれ!』『もしかしてあの子にあげるのかしらっ』などと黄色い声があがってる。

「・・・・」

こんな恥ずかしい男に付き合ってやることはない。
そう思った時任は久保田をを待たずにさっさと帰っいった。


* * * * *


家に帰り着いたら早速戦利品を食べながら久保ちゃんが俺に文句を言った。

「時任、一人で行っちゃうなんて酷いなぁ」
「あんな恥ずかしいとこで待ってられるかっての!」
「えー何でよ」
「バレンタイン当日に男がチョコなんか買うんじゃねーよっ!」
「ホントはバレンタインは男女関係ないんだけどね。日本のみよ女だけの行事にしてんのは」
「それでもっ!女ばっかの男だったら恥ずかしいだろがっ!」
「男と女なんてささいな違いなんだけどねー」
「でっけー違いだっ!」
「そう?んじゃ目つぶってみ」
「え?」

そう言って久保ちゃんは左手で俺の目を塞いだ。

そして・・・

「!!!」

べろちゅーしやがったこの野郎!!!

「ね?あんま男も女も違いないでしょ?」
「ね?っじゃねー!!」
「あれ?女とキスしたことない?」
「そういう問題じゃねーっ!」
「じゃどういう問題よ」
「・・・って」

そんな『何が問題?』って顔をされると逆に言いにくい。

「何でもねっ」
「そ?」

久保ちゃんは再びチョコを食べ始めた。

・・・する必要もないのに男女の違いを説明するのになんでわざわざキスしたのか?

何で違いが無いって知ってるのかとか

他の男や女としたことあるのだろうかとか

色々聞きたいことはあったけど

結局聞けなかった

・・・ちょっと聞くのが怖い。

「時任も食べる?」

久保ちゃんがチョコをすすめてくれた。

「・・・いらね」
「そ?」

もともと甘ったるいもんは好きじゃない。

それに

キスされたときのチョコがまだ口の中に残ってた・・・







終わり



確信犯的久保田です。荒磯でもWAでもどっちともとれるような恋人未満の二人でした。
男も女もノーマルもホモもレズも関係ありません!ハッピーバレンタイン!全ての恋人達(恋人未満も)が幸せでありますように!




2007.2.14

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