嫌だねー、因果応報ってやつ?

それとも自業自得??

どっちにしろ嫌なもの見ちゃったよ

さあて、どうしようかね・・・




Flame ・・・囲 い・・・





松本に呼び出された帰り道、階段の踊り場からふと外を眺めたら時任がいた。

ただ見知らぬ女という余計なオマケ付だった。

見るからに告白されてそうな雰囲気だ。
先日同じ立場だったからよくわかる。

女は俯いてた顔を上げた。時任に断られたのか泣きそうな顔だった。
でもふっきれたように笑い、何か話した。

あ、うろたえてる。
何を言われたか知らないが、ズボンに入れてた手をだしてわたわたしていた。

自分の時は最後の思い出にとキスを迫られた。
時任も同じだろうか。

まあいっかと思ってあの時はしたが時任はどうするだろう?





・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・


時任が迷ってる間に女のほうから動き、キスして、走り去った・・・

時任は固まったまんまだ。

俺は視線をはずし、窓から離れた。






あの後、何気ないそぶりで時任の元に行き、一緒に帰った。

そして夕飯にキムチチャーハンを作り、夕飯の片付けをし、風呂の支度をして、新聞を読んでいた。

「久保ちゃん出たぞー、入るか?」

風呂上りの時任が話しかけてきた。

「んー、後でね」

時任を見ずに返事した。

「なあ・・・」
「何?」
「お前、やけに機嫌悪くねぇ?」
「・・・いんや?」
「ウソつけ、さっきから俺のほう見ねぇじゃん」
「そお?」
「のくせ夕飯はカレーじゃねーし、率先してメシの片付けするしさ、・・・なんか変じゃん」
「気のせいだよ、風呂入るね」
「久保ちゃんッ!」

時任の声を遮ってリビングの扉を閉じた。



コックを捻りシャワーを浴びる。

シャワーを浴びながら昼間のことを考えた。

あの女は後で何とかするとしよう、誰かとくっつけて時任を忘れさせるでもなんでもいい、とにかく時任の周囲から引きはがす。ホントはちょっと酷い目に遭わせてもいいけどそうすると時任に気付かれそうだしね。

時任ってば変なとこで勘がいいから

色事は超絶ニブイくせしてね

あー、やっぱ機嫌悪いわ

時任のこと考えればいつでも気分いいのに今日は逆効果

コックを閉めてシャワーを止める。

適当に頭を拭きながらリビングへ行くと時任はもういなかった。

ちょっと早いけどもう寝たか?




寝室をのぞいたら時任が寝ていた。

ベッドに乗り上げて間近に顔を見る。

すやすやと気持ちよさそうだ。こちらの気も知らずに・・・

頬をなぞり、唇に触れてみる。

「ん・・・」

この唇に、自分以外のものを触れさせたのだ。

腹立たしい?悲しい?

・・・いや、怖いんだ。

あの女も、自分も、同じだ。

時任の意思に反して組み敷いたのはつい3日前のこと。
無理矢理というほどではないが時任がとまどって抵抗できないまま事を進めたのだ、似たようなものだろう。

その翌日、時任は熱をだした。
時任は『久保ちゃんのせいだっつの』とだけ言って行為については何もふれなかった。
何であんなことを?とか、何考えてる?とか、・・・気持ち悪い、とかも・・・
何も言わなかった。

熱を出したのにどう思ったかなんて俺からは怖くて聞けなかった。

そして今日

あの女と同じだったのだろうか

気持ち良かったからただされるがままで、それ以上の意味なんてなかったのだろうか

一瞬、手に入ったと思ったのは気のせいだったのだ。

じゃあどうすれば手に入る・・・?




寝てる時任に口付ける。

「ん・・・」

深く舌を差し込めば自然と口を開いて迎えてくれた。

体はこんなにも受け入れてくれてるのにね

のしかかってより深く口腔を探る。それだけじゃ足りなくて時任のタンクトップの下に手を差し込んで肌を探る。そのまま脱がせて肌を重ねた。

あのときは服を着たままだったので時任の全てが見たかった。触りたかった。

・・・欲しかった。

「・・・ちょ・・・重・・・」

時任が気付いた。それでも構わずに手と口を動かす。下肢にも手を伸ばし、扱く。すぐ反応しはじめた。

「あ・・久保ちゃ・・・?」

薄目をあけて俺を誰何するその声にはすでに欲情の色でにじんでいた。敏感な胸の突起を舐め上げるるとビクンと震えた。頭ははっきりしなくとも体は反応しているのだ。

「あっ・・・ちょ・・・何してんだよ・・・」

言わずともわかるだろうに。よりわからせるように、同じとこを舐め上げて、かじる。

「やッ・・・」

空いてるほうは手で弄くってやる。

「あ・・・んッ」

両方を同時にしつこく弄ってやる。すでに硬くしこっていた。触れるたんびにビクビクと反応した。

「久保ちゃ・・・そこ・・・ヤダ・・・」

イイの間違いだろうに、その証拠に息が上がり下肢は先走りで濡れていた。体温も上がり熱いくらいだ。

もっと熱くしてやろう、もっと悦くしてやろう、・・・何も考えられないように。

時任の肌に痕をつけながら、下へずれていく。そして一番熱い場所に辿り着き、口に含んだ。

「!!!ッ・・・やあッ」

舌を動かし、口をすぼめて扱いてやる。

「ヤ、ヤダッ!久保ちゃんそれヤメロッ!!!」

だからイイの間違いでしょ?されたことあるから分るけど、人の口のなかはとても、イイ。手とじゃ比べ物にならないほど、イイ。

ねぇ、気持ちイイでしょ?
この気持ちイイことしてくれてるのは俺だよ?
あの女はここまでしてくれないよ?

先端の敏感なとこを舌先でつついてやり、筋を舐め上げる。時任は離せと嫌がって身をよじるが、声はしっかり欲情で濡れていた。体は正直だ。

「あ・・・んう・・・も・はな・・・・」

もう声は切れ切れで意味をなさない。けど小刻みに震えはじめたので、もう終わりが近いから離せということだろう。

離さないけどね。

「くぼちゃ・・・も・・・」

イケ。俺に吐き出せ。


そして・・・


落ちて来い。



「や、あぁぁぁ!!!」

時任が放ったモノを口で受け止めてやる。生臭い。すぐ吐き出したいがまだ吐き出さない。

頭を上げて時任の顔を覗き込む。

頭を上げて時任の顔を覗き込む。頬は上気して赤く、目は涙で潤んでいた。そんな目で睨んでも可愛いだけなんだけどね・・・。

「くぼちゃん・・・」

ゴクリ

「!!!!!」

口に含んだものを、目の前で、音をたてて飲み下したのだ。

飲まれたのがショックだったのか声もなく見つめる時任に覆いかぶさり口付ける。舌をさしこんで濃厚に舌を絡める。精液が混じった苦味のあるキス。時任に何をしたのか分らせてやるキスだった。

クチュ・・・

わざと音をたてて、口を離す。

「時任・・・」

耳元でささやく、さあ次に行こうかなと思ってたら・・

「イッ・・・!!!」

脱力しきってると思ってた時任に急所を掴まれた。・・・しかも右手で。そりゃ反則じゃない?

「・・・随分好き勝手してくれたじゃんか」

不敵に笑って手に力をこめられた。
痛い、半端なく痛いんですけど・・・しかも長い爪でひっかかれそうで怖いんですけど・・・

「ちょ・・・時任・・・離してよ」
「ヤダね、離してやんねー」

それでも握力は弱めてくれて・・・今度は動き出した。

「時任?」
「やられっぱなしじゃシャクだかんな」

不敵に笑って、少し体を起こし、明確な意思を右手を動かしはじめた。

握りつぶされそうで怖かったか、繊細な動きも出来るんだ・・・

「ん・・・」

今度は自分が喘ぐ番だった。

その思ってもいなかったシチュエーションと予想外の感触がクる。
あの毛深い獣の手で扱かれる。
ザラリとした感触が予想外に気持ちいい・・・

「ふ・・」

しかもあの時任に扱かれてるわけで・・・

ヤバ・・・

「!!!!」

いっちゃったよ・・・

もともとたってたとはいえ早すぎる気がする・・・ちょいショックかも

「ちったあ落ち着いたかよ」

あー怒ってる。

「こういうのってさ、こう、お互いやりてーからやるもんだろが。人が寝てるときに断りもなくってのはヤメロよな!」

・・・まあ、おっしゃる通りです。

「大体さ、なんか怒ってるんなら口で言えよ」

昼間の女に嫉妬したなんて言いたくない。

「なあ・・・もしかして、学校でのアレ見たんか?」

こういうときだけ勘がいい・・・

「ありゃただの不可抗力だかんな!油断してただけだから!」

不意打ちだってのは見てたから知ってるけどね

「ちゃんと断ったんだぜ?俺には久保ちゃんいるからさ・・・」

そうそう・・・って・・・

「・・・断わった?」
「当たり前だろ?そりゃ久保ちゃんがいるからとは言わなかったけど・・・」
「俺がいるから?」
「?他に誰がいんだよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「念のため確認するけど」
「あぁ?」
「時任ってさ、俺のことセックスしたい意味で好き?」
「////な・・・何だよ今更・・・」
「俺はセックスしたい好きだけど、時任はどうなのかなって」
「お前な・・・でなきゃこんなこと許すわけねーだろが、馬鹿かお前」


・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・確かに馬鹿かも・・・

時任の性格からして寝てるときににこんなことされてただですむはずがない。
じゃあ相方から一段昇格したと思っていいのだろうか?

「時任は俺たちの関係って何て思ってる?」
「??相方だろ?」
「セックスしても相方なの?」
「////」

あーとかうーとか唸ったあと

「・・・じゃあ他になんて言うんだよ・・・」

ボソリとうなるように言われた。
今度は俺が黙る番だ。

恋人、友達、確かにそれだけじゃしっくりこない。

恋人は別れればお終い、友達というだけじゃちょっと足りない
相方とか連れ合いとか離れない一セットでくくったほうがしっくりくる。

・・・・言葉にこだわって囲いをつくってたのは俺のほうだったわけね

時任はよく『男同士じゃあなー』とか言ってるけど自分が男だって自意識が強いだけで偏見があるわけじゃない。真剣であればちゃんと聞く耳をもっていた。

もともと途中経過をすっとばして結論に至るようなとこがある時任だから、3日前のことは『久保ちゃんとならHも有り』とでも思ったのか?

じゃあ悩まずにさっさと襲っておけば良かったっていうこか?

あの禁欲生活の一年間はどうだったんだろう・・・。

「そうね・・・相方というしかないよね・・・」
「だろ?まあどっちでもいいけどよ、もう寝ようぜ。なんか疲れた・・・」

え・・・

やっと両思いになったのでここは続きをしたいとこなんですけど・・・

でもさっきのことがあったのでなんか言い出しづらい

「あ、そだ忘れるとこだった」

時任がこちらを向く

ちゅっ

「これでチャラだかんな」

再びあっちを向いて寝転んだ。・・・耳が赤いよ?

昼間されたぶんのことを指してるのだろう。

初めての時任からのキス

さっきはもっと濃厚なキスとそれ以上の行為をしてたのに、この戯れのようなキスのがやけに嬉しい・・・


完敗かも・・・

大人しく布団を被って寝ることにする。

先ほどの感触を思い出しながらまぶたを閉じた・・・






(終)
『奥様は見た!』編です。
なりゆきでHして一歩進んだけど実際は?って感じを書きたかったんですが半分以上がエロ描写になってしまった・・・。このエロ部分は『獣の手を使った久保時らしいエロを!』と思って書き始めたんだけど途中で疲れて獣の手の部分はあっさりになっちゃいました。やっぱエロは難しい・・。あ、時任の熱は知恵熱ですね!

何故久保田さんが奥さんかというと、久保田さんは絶対何も言わないで黙って怒るタイプだよね。旦那が浮気したら旦那を攻めずに浮気相手を攻めるのが女。女の方が旦那を攻めて嫌われるのが嫌ってタイプ多いらしい。時任は久保ちゃんが浮気してたら久保ちゃんを攻めるけど、久保田は時任が浮気したらその相手を排除しそう。だから精神的には旦那=時任、奥さん=久保田な気がしてる。なので、奥様は見た、です(笑)

2007.10.25

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