サマードリーム - オープニング - 




キーン・コーンカーンコーン

校舎から鐘の音が聞こえた。


「ここが久遠寺高校か…、ふーん、思ったより広いかも」

佳主馬は夏休みを利用して東京に遊びに来ていた。

「健二さんは『校門で待ってる』と言ってたけど…」

「佳主馬くん!こっちこっち!!」

校門のところでぶんぶん手を振っている健二が見えた。

(そんな大きく手を振らなくても見えるののにね。でも健二さんらしいな)

「久しぶり、健二さん」
「うん、久しぶり!GW以来だから2か月ぶりだよね」

あの夏以来、佳主馬は長期休みのたびに遊びに来てるようです。

「うん、今日もお世話になります。(ぺこり)」
「何言ってんのうちはいつでも大歓迎だから!(にこにこ)」

どうやら佳主馬は連休の他にも仕事を理由に東京へ来ては健二宅へ泊ってるようです。
健二は弟が出来たみたいだと喜び、佳主馬は兄が出来たみたいだと全力で懐いています。
でも、東京まで会いに来るなんて懐いてる範囲をちょーっと越えてますよね。
本人は自覚ありませんが。

「あれ?またちょっと背伸びた?」
「ちょっとだけ」

(ちっ、リアルで見るとまだまだ身長差あるな。もっと牛乳飲もうかな、あと睡眠時間も増やそう)

現在の身長14?p、まだまだ差があります。
憧れのお兄さんに早く追いつきたいお年頃なんです。

「今日は制服で来たんだ。学校から直で来たの?」

うん、それに校内見回るなら
制服のままのほうが悪目立ちしないでしょ

本当のところは小学生、しかも女の子に間違われるのが嫌なだけです。

「確かに、タンクトップよりはね。にしてもうちなんか見に来て面白いかなぁ。普通の高校だと思うんだけど…」
「健二さんがいた部だし、あんなプログラムをたった半日で組む人達を排出した物理部は十分普通じゃないから」
「あれは凄かったよねー」

(…一番すごかった人が一番分かってないよな)

その通りなんですが陣内家を『普通の家』と言い切った佳主馬なので無自覚さでは同レベルだと思います。

「じゃあ早速物理部に行く?」
「うん」



 * * * 



校内に入りました。

「中もキレイだね」
「ここら辺はね。部室棟は結構凄いよ」
「そうなんだ」
「あ、2階だから」
「ん」

二人で階段を上がろうとすると…

「危ない!!避けて!!!!!」
「え?」

階段の上からダンボール箱が落ちてきた!

「健二さん危ない!!!」
「佳主馬は咄嗟に健二を庇った」


ガラガラどっかーん!


「佳主馬くん!?」




――――― 暗転 ――――――



 * * * 



「佳主馬くん・・・」



「佳主馬くん…」


「・・・?」

目を開けたら健二のドアップが目の前にあった。

「健二さん…?何でそんな泣きそうな顔してんのさ」
「目ぇ覚めた…、良かったぁ…」

どうも頭が痛いと思ったら自分は地面に寝ていたらしい。どうやら軽い脳震盪を起こしたらしい。

「どのくらい気絶してた?」
「ほんの数秒、どっか痛くない?大丈夫?」

佳主馬は立って体を動かして見た。問題はないようだ。

「ちょっと頭打ったみたいだけど平気。他はどこも痛くない。大丈夫」
「でも心配だから保健室行こ?」
「平気だよ…って…健二さん何でそんな恰好してるのさッ!?
「え?何が?」
「いつの間に着替えたの!?」

目の前の健二は何故かスカートを履いていた!

「え?、着替えてなんかないよ。最初っからこの恰好だけど…」
「????」

(どういうことだ?、どう見たってソレはスカートだ。
 当たり前だけど今朝はズボン履いてた)

「着替えて、ない…?」
「うん」

まじまじと健二を凝視する佳主馬

(良く見ると胸っぽい膨らみまであるんだけど…)

(ウソ胸まで入れた女装?)

(僕が気を失った間に皆で僕をからかおうとしてるのか?)

(でも健二さんが女装なんかしてこんな普通な顔してられるはずがない)

(もしかして僕の目の錯覚?)

(頭打っておかしくなった??)

(確かめなきゃ)

佳主馬は目の錯覚かどうか確かめるために『胸』か『スカート』を触ることにした。

どちらに触る?

 『 胸 』  /  『 スカート 』



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