☆ 男同士の内緒話+オマケ ☆

 ビール二本目を飲み始めてほろ酔い加減になってくるともちょっと際どい会話もしたくなってくる。

「キングさー、『男はキライ』って言うからには何かあったの?」
「また変なこと聞いてくるし・・・」
「えーだって未知の世界で面白そうじゃん」
「なんなら紹介して未知じゃなくしてあげてもいいケド?
「いえいえいえ、未知のままで結構です!」

 対岸の火事で楽しみたいだけですから

「全く、他人事だと思って気軽に聞いてくれるよ」
「これだけイケメンに育つと大変だなー」
「今の話じゃない。もっと前から」
「へ?」

 イケメンに成長したから男女共にモテてるって話しじゃないのか?

「中1の頃はチビだったから変な上級生に呼び出しされたり、待ち伏せされたりなんてしょっちゅうだった」
「えーっと、生意気な下級生をこら締めてやる的なお呼びだしじゃなく?」
「そういうのもあった」
「両方かよっ」

 さすが世界no1の生意気小僧

「しかも体格の差にものをいわせて体育館の用具室や部室に引きずり込もうとするヤツがいて最悪だった」
「!?ちょ、それ、洒落にならないって!」
「もちろん全て返り討ちにしてやった」
「・・・・・・・・・・・・・・・・良かったね、少林寺拳法やってて」
「こういうの気合入れて少林寺の修練に励んだというのもある」
「へ、へぇ・・・」

 何かあったときの護身術じゃなく、実際に使う相手がいる前提とはヘビーな話だ。
 知り合ったばかりの頃は健二の胸くらいしか背が無くて可愛かったからなぁ。しかも一匹狼タイプでプライドが高く生意気だ。その生意気な顔を歪ませてみたいなんて連中が現れてもおかしくない。つか実際いたんだな。健二と付き合うまで無事キレイな体でいられて良かったね☆

「あの頃はヤラレル一歩寸前になんとか逃げ出せたくらい追い詰められたこともあって毎日気が抜けなかったな」
「どこまで寸前になったかは聞きたくないかも・・・」
「制服ビリビリに破かれたこともあって母さん誤魔化すのに一苦労だった」
「そ、そう・・・」
「こっそりポケットマネーで制服買い足しといたからなんとかなったけど」
「・・・制服って高いのにね」
「ホント、キングで良かったよ。お小遣いじゃ買えないよ」

 良かったと思うポイントがずれてますよキングさん!

「二年終わりごろからやっと背が伸び始めてそういう連中は減ったけど」
「色んな意味で伸びて良かったネ」
「でも背が伸びたら伸びたで今度は下級生から手紙もらうようになった」
「手紙とはえらく古風じゃん」
「僕のメアドは基本身内にしか教えてないから」

 そりゃ普通の友達とメアド交換なんぞしたらキングカズマがメールを運んできてパニックが起きるだろう。それどころか学校の友達なんかに教えたらあっという間に広まって普通の学生生活なんて送れなくなる。

「まあなー、でも学校の友達とかは?ないと不便だろ」
「サブIDのアドレス教えてる。よくつるんでる相手だけに教えたんだけど出回っちゃってるから登録してる人以外は着信拒否にしてるけど。何十通もメール来てうざいから」
「さすがキング・・」

 あのキングカズマだと知られてなくても何十通もですか。オフでもキングですか。もうさすがとしか言いようがありません。

「あー、じゃ身内じゃないのにキングカズマでメール来る俺って結構レア?」
「まぁね」

 へぇ、そりゃ光栄ですこと。
 目の前にいるのは年下の生意気な友人だが憧れのキングカズマでもあるのだ。
 気分が良くなるのは仕方ない。

「ガードが固いから”手紙”で攻勢かけてくるんだ」
「最初は『憧れてます!』とか書かれたファンレターだったし、話したら無邪気でかわいいもんだった。だから弟分ができたみたいでちょっと気分よかったんだよね」
「妹しかいないもんな」
「そ、だから邪険にしないで適当に相手してたら、いつのまにかそういうのが数人できて取り巻きみたいになっちゃって、そのうちにべたべたしてきてさ、『お兄さんて呼んでもいいですか?』なんて言い出した時には鳥肌立った」
「うっわ、・・・・」

 もし俺がキングから『お兄様』って言われたら寒さで凍るかもしれない。

「部活中にタオルやドリンク持ってきたり、弁当持ってきたり、そこらへんの女子と同じことし始めてさ・・・すごくウザかった」
「女子ならただただ羨ましいだけなんだけどなぁ」
「女子だって何食べさせられるかわかったもんじゃない。ウザイだけだよ」

 女子相手にもそんな不信感を持つなんて何かあったのか?キング!

「下級生同士で『池沢先輩は渡さない!』なんて掴みあいの喧嘩されたときは参ったよ。水ぶっ掛けて黙らせた」
「あはははは・・・」

 男を巡っての男同士の争奪戦とはなんとシュールな・・・
 そんな修羅場を若くしてくぐるなんてもう笑うしかない。

「結局下級生はうちのクラスと部室への立ち入り禁止にしてるからなんとか落ち着いたけどね」
「オツカレサマデス」
「ファンの対処はキングで慣れてると思ってたけど、実際に目の前で生身の人間相手だと無視すればいいだけじゃないからそうカンタンにはいかないね。いい勉強になったよ」
「オンでもオフでも苦労してたわけね」
「もう慣れた」
「さよで・・・」

 こんな中学校生活送ってたら”男はキライ”って言いたくなるわけだ。
 
「その調子じゃ校内でファンクラブとかありそうだな」
「さあね。でも女子が俺が男と二人で何かしてると集団でキャーキャー騒いでるから何かあるかもね。勝手に写真とったりするのには困るけど特に害はないからどっちでもいいよ」
「・・・・・・・」

 もしかしなくても腐女子の集団と思われる。
 多分知らないところで非常に有害な扱いを受けてるのだろうが言わずにおいた。

「なんか、想像以上にハードな生活だな。確かに健二は知らない方がいいかも」
「でしょ?余計な心配かけるだけだよ」
「かもなー・・・」

 ビール飲み飲みキングの苦労を思ってしみじみしてしまった。
 なんか日本酒が欲しい気分だ。

「ところでさ、佐久間さんの方こそどうなの?」
「へ?俺?」
「女の子と出かけた写真は何枚もあるけど特定の人じゃない。何人もいるよね。これって特定の彼女がいないってこと?」
「ちょっ、キングどっからアルバム出してきたの!ナニひとんち家捜ししてんだよッ」
「家捜しなんて人聞きが悪い。敵情視察と言ってよ」
「同じだから!」

 まだ俺は対健二の敵ですか!?ひどくない?
 キングの苦労に同情して損した!

「AV雑誌も写真の子も全部健二さんとは別のタイプだからちょっと安心した」
「だからアイツとは親友のままで付き合う気は無いって言っただろ!」
「人の心は変わりやすいからね」
「16才のセリフかよッ」

 こんな風にギャーギャー言いつつ夜は更けていった。
 
 結局、キングの健二フェチがおさまらない限りはずっとこんな調子なんだろう。

 男同士の渋い語らいには程遠い俺らだった。



END
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
腐女子フィルターで妄想した佳主馬たんの中学生活暴露文でした☆
だって公式であれだけ色っぽく!なんて書かれるとそういうもんだと思っちゃいますよねー、あはは。
佐久間はマメだから普通にモテそう。そして男っぽいさばさばした女の子といつも間にか付き合って上手くやってそうです。でも自衛隊にお勤めのあの御仁とくっついてもいいかもなんて最近思いつつあります。あんなにイイ子で男気に溢れてるのに腐女子フィルターで見ちゃってごめんなさい。

2009.12.11
× 展示目次へ戻る ×