悪戯ならOZ越しで危険(?)もないだろう。出来るとしたらせいぜいボムメールとかくらいだ。たとえボムメールでも佳主馬くんが危険なメールを送るはずがない。
何よりお菓子を用意してないので悪戯しか選びようがないわけで・・・
「い、悪戯でお願いします・・・」
『悪戯』なんて気恥ずかしくて俯きながらお願いした。
『分かった。ちょっと待ってて』
佳主馬くんはニッコリ笑ってログアウトした。
「佳主馬くん?」
そのまま待つこと数秒、ぴろりろりん♪とメールの着信音が流れた。
佳主馬くんからのメールだった。
(やっぱり悪戯メールなんだろうなぁ・・・)
ドキドキしながらクリックしてメールを開く。
途端、パッと画面にプレゼント箱が現れた!
そして突然カウントダウンが始まった!
3,2,1・・・0 !
バァァァアアアン!!!
プレゼントが弾けて中からカボチャ大王が飛び出した!
「ひぃいっ!!!」
心臓に悪い!あの夏以来びっくり箱はトラウマなんだ!!
目の前でびよーんとびっくり箱から伸びているカボチャ大王は口に何かを加えていた。メッセージカードのようだった。
(二重のびっくり箱じゃないよ、ね・・・?)
ドキドキしながらそこにマウスを動かしてクリックする。
予想通り、メッセージカードが現れた。今度は何も起きない。普通にメッセージが書かれただけのようだ。安心しつつ文面を読み上げる。
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Dear KENZI
HAPPY HALLOWEEN!
健二さんのことだからお菓子は用意してないと思うので
僕から健二さんへお菓子を贈ります。
下記のアドレスにアクセスしてみて。 健二さん好みのお菓子があります。
明日休みでしょ?ゆっくり楽しんで。
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「佳主馬くん・・・」
佳主馬くんらしい素っ気ないけど優しい文面に笑みがこぼれる。
胸がほっこり温かくなった。
書かれた通りに添付されてるアドレスにアクセスすると、何千桁もの数字の羅列がでてきた。
(暗号だ!)
確かに僕好みのお菓子だ!
なんて僕の好みを分かってる恋人(///)なんだろう!感動してしまう。
思いがけないプレゼントに健二は嬉々としてかぶりついた。
お菓子のひとかけらさえ残さず楽しむ所存だった。
***
数時間後、健二は暗号解読に成功した。
暗号の中身は佳主馬からのメッセージだった。
『11/3に東京へ行きます。悪戯するから覚悟しといて』
「あ!東京へ来るんだ!」
解読できた喜びと、嬉しい内容に二重に嬉しくなる。
でも・・・
(『覚悟』がいる悪戯って・・・?)
想像もつかない。覚悟の意味を考えると何故か悪寒が走った。
健二は不思議に思いつつも佳主馬が来る嬉しさに考えるのを止めた。
(11/3までに佳主馬くんが喜びそうなお菓子を用意しておこう)
健二はにこにこと佳主馬へお菓子のお礼メールを送った。
健二が『覚悟』の意味を知るのは三日後。
「ごちそうさま」と健二に言う佳主馬と、「こんなの悪戯じゃないよッ」と真っ赤になって騒ぐ健二がいたそうな。
どんな悪戯だったかは・・・、二人だけの秘密です(笑)。
END
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