悪戯ならOZ越しで危険(?)もないだろう。出来るとしたらせいぜいボムメールとかくらいだ。たとえボムメールでも佳主馬くんが危険なメールを送るはずがない。
何よりお菓子を用意してないので悪戯しか選びようがないのだけれど
(でも佳主馬くんの悪戯って何か恐い気がする・・・)
なんせ相手はあのキングだ。
自分が思いつかないような悪戯を考えてくるかもしれない。なんとなく嫌な予感がするので避けたい健二だった。
それに、お菓子ならないこともないわけで・・・
ただ非常に恥ずかしいのだ。
でも佳主馬くんなら必ず喜んでくれるはず。自分だってされたら嬉しいと思う。
(恋人同士になって初めてのハロウィンなんだからちょっとくらいいいよ、ね///)
恥ずかしさを我慢して『お菓子』にすることにした。
「えと、お菓子、でお願いします」
おずおずと申し出て見ると佳主馬くんがぱっと顔を明るくした。期待しているようだ。なら頑張らねばならない。
健二は覚悟を決めた。
「佳主馬くんwebカメラに近づいてくれる?」
『うん』
佳主馬は健二の言うとおりにWebカメラに近寄った。健二のPCには佳主馬の顔がどアップで映し出されている。ここまで間近に見たことはそう何度もない。
(佳主馬くんてホント格好いいな///)
大きい画面はそこに本当に佳主馬くんがいるようでドキドキする。
健二はそっとパソコン画面の佳主馬くんに顔を寄せていく。
佳主馬くんとキスする手前で止まり、ちょっと背伸びをして
chu!
軽いリップ音をさせてwebカメラにキスをした。
これであちらには自分からキスをしたように見えただろう。
「こ、これでどうでしょうかッ/////」
少女マンガみたいな自分の行動に健二は恥ずかしさに真っ赤になっていた。
健二とていつも佳主馬にキスをしたいと思っていた。ただ恥ずかしくて出来ずにいた。でも初めてのハロウィンだ。少しくらい大胆になってもいいだろう。そう自分に言い聞かせて嬉し恥ずかしの初ちゅーを敢行したのだ。
猛烈に恥ずかしいが後悔はない。
問題は佳主馬くんだ。
どん引きされてたらどうしようと思って佳主馬くんを見ると・・・
画面の佳主馬くんは顔を赤くして口を押さえて驚いていた。
そりゃそうだろう、キスは数えるほどしかしたことがない。それもいつも佳主馬からしていた。健二はいつも受け身で真っ赤になって逃げ腰だった。
その健二がパソコン越しとはいえ自分にキスをしてくれたのだ。そりゃ真っ赤にもなる。
『ご、ごちそうさまでした・・・』
真っ赤になりながらも律儀にお礼を言った佳主馬に
「ど、どういたしまし、て・・・」
これまた真っ赤になりながら返事をする健二だった。
***
チャット終了後、佳主馬は一人でパソコンの前で悶絶していた。
(健二さん・・・あなたって人は!)
真っ赤になった健二さんは壮絶に可愛かった。
しかもなに!あの子供ダマシの可愛すぎるキスは!!
もう生殺しなんですけど!!!
完敗だよッ!!
今すぐ東京に向かって健二さんを押し倒したい衝動に駆られるのを必死で我慢する。
すーはー深呼吸しながら気持ちを抑えて健二宛に用意していた『お菓子』メールを送る。
これで11/3には会えるはずだ。
(絶対リベンジするから・・・!)
(生の健二さんちゅーを味わって、健二さんの体を隅々まで悪戯するんだ!)
そう決意を固めた池沢佳主馬15歳の性少年だった。
恋人達のハロウィンはもう少し続くようです。
END
|