『時坊、1ヶ月後って何の日か知ってるか?』
『何の日?』
『誠人の誕生日だよ』
『マジで』
7月20日、超重要な情報ゲット。
てか、なんで久保ちゃんもそういう話しねぇんだよ。
久保ちゃんになんかあげるとしたら、なんだろ。
……ジッポ?
でも俺、金ねぇしなぁ。
…頼りたくねぇけど、やっぱ短期間で稼ぐなら、あそこしかねぇよなぁ。
「いってきまーす」
久保ちゃんが代打ちのバイトに行ったら出かける。
久保ちゃんがいる日はゲーセン行くって言う。
コレが俺の最近。
もぐりのトコでそれなりに危なくないバイトを、不本意ながらにして、金を稼ぐ。
「で、時任君は何をあげるつもりなんですか?」
「ん〜、久保ちゃん煙草吸うからジッポ?」
「予算は?」
「わかんねぇの、どこで買えばいいかが」
「あなたがあげればなんでも喜ぶと思うんですけどね。
それなら、少し値は張りますけど…」
そういってもぐりが店のカウンターからパンフレットを出してくる。
「クロムハーツなんてどうです?」
「うわ、かっこいい…ってこんな金ねぇけど」
「支払いますよ、あなたの働き次第では」
ということで、俺は黙々と仕事をしてる。
ゲームしてぇし、疲れるし、最悪だけどコレも久保ちゃんのタメ。
たまには俺からしてあげてぇし。
そして迎えた8月23日PM11:58。
あと2分しかねぇ…!
もぐりんとこからダッシュで家に帰る。
「ただいま〜!!」
「お帰り、時任」
「うわ、何してんの」
ドアを開けるとすぐそこに久保ちゃんが立っていた。
おもいっきり不機嫌そうに。
「お前こそこんな時間までなにしてたの」
「いや…それは」
「なに」
久保ちゃんの後ろにある時計で時間を確認する。
あと10秒。
「ちょっと待って」
「ん?」
8、
7、
6、
「時任?」
「いいから、待てって」
3、
2、
1、
「久保ちゃん誕生日おめでと」
秒針が0を指した瞬間、久保ちゃんの服の襟をつかみ軽く口づける。
唇を離して久保ちゃんの顔を見ると、若干驚いた顔をしていた。
「なに、どこで聞いたの」
「葛西さんから」
「あ〜…ありがとう」
「どういたしまして。
久保ちゃん、手」
「ん?」
「手」
「はい」
差し出された久保ちゃんの手に小さい箱を置く。
朝から買いに行ったプレゼント。
「やる」
「どうも」
「開けろよ」
「はいはい」
なんとなく嬉しそうになった久保ちゃんは包装を剥がし箱を開ける。
あ、ビックリしてる。
「高かったでしょ、これ」
「うん」
「どうしたの」
「もぐりんとこで先月からバイトした」
「…怪我とかして無い?」
「簡単なのしかしてねぇよ」
ならいいけど、とか言いながらジポを透かすように眺めている。
なんか笑ってるように見えるのは、気のせいじゃねぇよな?
「てか、普通は『プレゼントは俺』じゃないの?」
「〜っ///、それじゃプレゼントじゃねぇもん」
「なんで」
「俺は久保ちゃんのもんだから」
「………おまえは」
ビックリしたように目を見開き、クスクスと久保ちゃんが笑いだす。
なんでだよ。
俺なんか言ったかよ。
「ありがと」
「どういたしまして」
「で、時任は俺のものな訳だから貰ってもイイ?」
「……聞くな、ばーか」
「ありがと」
なんで久保ちゃんがこんな嬉しそうなのかとか分かんねぇけど。
まぁいっか。
久保ちゃん喜んでくれたってことだし。
Happy Sweet Birthday.
********あとがき*********
久保ちゃん誕生日おめでとうございます!!
管理人サマ素敵な企画ありがとうございます!
こんなもんで申し訳ないです…
時任の時はもっと精進出来るように頑張りたいです