久保時生誕祭2007 投稿作品


[52] 時任の生誕祭(*´∀`)ノ∠※  
■Lowe [HOME]  投稿日:2007/09/12 (Wed) 12:26  *2回修正  

時任はこの日、いつにも増して機嫌が悪かった。
いつもなら隣にいるはずの久保田がいない。
そのことについて呪詛のように文句を言いながらマンションへと歩いていく。

「久保ちゃんのバカ、ったくあの野郎」

朝に久保田が「今日は休む」と言ったときから寂しさが消えない。
あまり風邪なんてひかないし、ひいてる様子もないのでどうして休んだのかさっぱりわからない。
むしろ今日だけは一緒にいてほしかったのに。
帰ったら何て言ってやろう。そればっかり考えながら歩いてたら、いつの間にかドアの前に着いていた。

「ただいまー」

返事はない。本当に風邪でもひいて寝込んでしまっているのだろうか。
しかしそんな心配はものの数秒で消えてしまった。

「あ、お帰りー」

キッチンから聞こえてくる聞きなれた声。行ってみると久保田が何か作っていた。

「早かったね」
「そうか? いつもこんなもんだろ。……で、お前は何やってんだよ、よりによって今日休んでまで」
「あれ時任クン、何を怒ってんの?」

からかうように言われ、むきになって反論する。

「まさか今日は何の日か忘れてんじゃねえだろうな」
「? 何のコト?」
「〜〜〜ッ、もういいっ! 久保ちゃんなんか――」

次の言葉を言う前に、ケーキ一ホールの乗った皿が目の前に出された。
スポンジを綺麗にデコレートしている生クリームの上に、真っ赤な苺がちょこちょこ乗せられていて
とても美味しそうである。

「お前の誕生日以外に何かあったっけ?」
「え……あ、」
「ごめんね、今日学校行けなくて」
「べ、別に! お前がいなくたって寂しくなんてなかったし。ただ、ちょっとリズム狂うだけで……」

赤くなって目をそらす様子を見て久保田は微笑んだ。
そしてケーキを切り分けると『Happy Birthday』と書かれたチョコのプレートを苺の隣に刺し、
フォークを持ってきて皿に添える。

「はい、誕生日おめでとう」
「……なぁ、これ作るためだけに学校休んだのか?」
「まぁ、そんな感じ」
「ケーキなんて買ってくればいいじゃん。わざわざ作んなくてもさ」

そう言ってむくれる時任の頭をあやすように優しく撫で、久保田は額にそっとキスをする。
本当なら唇にしたかったところだが、機嫌を著しく損ねる虞もあるのでそこまでに留めておいた。

「そう言わずに、食べてほしいな」
「いや、野郎の手作りケーキとかマジ勘弁だし、それにさ」

再び時任は視線を上げた。

「何か入ってそうで嫌だ」
「そう?」
「なぁ、何も入れてないよな? 変な薬とかさ」

そして少し笑いながら冗談っぽく問い掛ける。

「……あ、うん、入ってないよ。大丈夫大丈夫」
「いやいやいや、何なんだよその間は! 怖くて食えねーよ!」
「信じてくれないと俺傷ついちゃうよ?」
「はいはい、わかりました。食ってやるからその代わりに俺様の誕生日だってコトで、」

ケーキの乗った皿が鼻先につきつけられ、久保田はそのまま受け取る。
また何か肉体労働でも命じられるのだろうか。

「『あーん』して食わせろ」
「……え?」

予想外の言葉に固まってしまう久保田。
時任は皿をひったくり、フォークでケーキを一口サイズに切った。

「ほら、このくらいの大きさでいいからさ」
「ああ、うん、りょーかい」

そのままフォークを受け取るとケーキを時任の口まで運んでいく。
まるで親鳥が子鳥に餌をあげるみたいだと思うと、つい噴出しそうになってしまった。
笑いを堪える久保田をよそに時任はケーキをじっくりと味わっている。

「どんな?」
「うん……美味い」
「それはよかった」
「久保ちゃん、サンキュー。俺久保ちゃんのこと大好き!」

浮かべられた満面の笑みに久保田の心臓は高鳴った。
しかしその一秒後時任は耳まで真っ赤になり、
半ば噛みながらも弁解の言葉を必死に並べ立てていた。

「ち、違うからな! す、好きって言ってもそういう意味じゃ、」
「そんなむきになって反論しなくてもいいじゃない。で、もっと食べる?」

無言で頷くのを見て、久保田は微笑んでケーキを切った。

「はい時任、あーん」
「あーん」

そして次々与えられるケーキをどんどん食べていき、ついに皿に乗っていた分は食べ終えた。
その後時任が口の端についているクリームを指で拭うのを見ながら、
久保田はどこからか取り出したメモにペンを走らせていた。

「サンプルB、効果さほどなし……と」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━―一

執行部にての時誕です♪
時任逃げてー! でもやっぱ逃げないでー!な作品で恐縮ですがw
本当におめでとうね時任(*´∀`*)

残り期間あとわずかですが、他の皆様の作品が投稿されるのが楽しみです。
犬'さま、素晴らしい企画を本当にありがとうございます。



■犬’  -2007/09/09 (Sun) 23:02 *1回修正
・・・く〜ぼ〜た〜く〜ん?ちょーっとその薬おねえさんに貸してくれないかな?え?どうするかって?
夜中に忍び込んでどこぞのメガネ君に無理矢理飲ませて某893さんに引き渡すな〜んてことは考えてないわよー?(にっこり)
サンプルBがあるならAもそのまた先もあるってことですよね。なんだか色々妄想できて楽しいです(腐笑)
久保たんに引き続き時たんへのご参加ありがとうございました!