久保時生誕祭2007 投稿作品


[40] くぼちゃんはぴばーA  
■meme [HOME]  投稿日:2007/09/06 (Thu) 01:43  *1回修正  

(@の続きです)

鍵を渡してくれた人とは、二度と会うことないまま、
撃たれて死んだと噂を耳にした。


グルだったらしい。
麻雀打った3人だけでなく、その人も。

知っていたが。


「春を知らず」 5

ある日、火を貸した人に、
呼び出された。


慰めてというので、
自分の知っている方法で慰めた。

触れた体は柔らかく、
体はちゃんと興奮して反応した。

それだけ。

セッタほどはまることなく、
麻雀ほどのめりこむこともなく、
一度試したそのぬくもりを、
自ら再び求めることはなかった。

たぶん、彼女も、
二度と求める事はないだろう。


俺でなくても良いのだから。

  * * *

手の中には、何も残らず、
自分の中には何もなく。

ヒトの中にも自分はなく。


自分がここに在るかも分からず。

ただ自分以外の全てを看取りながらゆくだけ。

「春を知らず」 6


犬のようなヤツにあった。

犬のようなと言うのは失礼か。
しかし、後ろからついてくるようすは、犬のようで。

彼は、目の前で死んだ。


二度と会わない。

二度と、会えない。


猫を拾った。


生命力が強そうだ。
多分、また、死んでいくだろうが、
もしかしたら、
今度は俺を看取ってくれるかもしれない。

  * * *

「なにやってんだよ。久保ちゃん」


突然後ろから声を掛けられる。

「真っ暗じゃねーか。
げ!!窓も開いてる!!
おわ、雨が吹きこんでる〜〜!!」

明かりが、色が、音が戻った部屋で、
帰ってきた時任の姿をみると、部図濡れで、
ぽたぽた雫をたらしていた。

時任があわててベランダのサッシを閉めに走ると、
そこまでの道のりに水溜りと足跡ができる。


タオルを持ってきてやろうと、立ち上がって
時任の脇をすり抜けてバスルームへ向かおうとするが、
まてまてまてと、濡れた手でシャツをつかまれ、止められた。

じゃあ〜〜〜ん。
と、懐の中から箱をだす。
掲げて嬉しそうにその小さな箱の、包みを解きだした。

ふっちまってさ、
傘買おうとしたけど、
かっちまったら、金が足りなくなるからな。
けど、安心しろよ。
上着の下に入れておいたから、
コイツは濡れてねーぞ。

ほら、と手渡されて、開けてみる。


彼が守っていたんだろう。
髪から顎から袖からと絶え間なくポタポタ水滴が落ちていたが、
箱は濡れていなかった。


彼から渡された箱の中にあったのは。

誕生日ケーキ。

こないだ滝さんからもらったバイト料でかったんだと、
自慢げに話す。

金大目に持っていきゃよかったのに、
きっちりしか持っていかなくてさ、

・・・・うん。


あ、これいつものゲーセンの先にある、こないだオープンした店のなんだぜ。
いっぱい客入ってっし、すっげぇうまそーだったんで、こっそり予約してさ。
そしたら、ちっちぇーのにすっげぇ、たっけぇんだよ。


うん。


イチゴかチョコか悩んで、
栗も捨て難いし、アイスなんてのもあったし、
タルトやらロールケーキやらいっぱいあったけど、
結局イチゴにした。
お前いつかでっけぇイチゴのパフェ食べてただろ。


うん。


そんで今日取りにいったら、行く途中で降り出してさ。
店出た瞬間に突然すげー土砂降りで、
やむのまってたんだけど、埒があかねーから、
ぬれねーようにして、走って帰ってきたんだ。


うん。

うん。時任。


嬉しそうに詳細を語る彼の
濡れた肩に頭を乗せる。


おわ、ぬれっぞ、
俺、つめてーから。


・・・・・あったかいよ。

肩の横の時任の頬に、頬を寄せる。
本人の言っている以上に、
頬は、体温を雨に奪われて、
いつもの高い体温じゃなくて、
頬も首も耳も髪も、全部ずぶ濡れだったけれど。


あたたかくて。
生きている彼の息遣いと鼓動が聞こえる。


彼の、前髪から滴り落ちる雫を受けながら、
声を聞いた。

誕生日、おめでと。久保ちゃん。

******

すっごく遅くなったけど、久保田さんはぴばーvv
誕生日に、くらーいお話ですが・・・
制限行数を越え、一度に投稿できず、二度にわけました。
犬’さん、こんな素敵な祭りを、ありがとうございますv


■犬’  -2007/09/07 (Fri) 23:56
うわっうわっ、じんわり切ないSSをありがとうございます〜!
遅くなったなんてお気になさらず!全然問題なしですから!!!!
なんかね、皆さんが参加して二人をお祝いしてくれるというのがすっごく嬉しいんですよ、久保時万歳!(笑)

あらら、行足らなかったですか・・・次回はもう少し増やしときますねv
ご投稿ありがとうございました!