久保時生誕祭2007 投稿作品


[21] お誕生日おめでとう御座いますvv  
■夜海深 [HOME]  投稿日:2007/08/25 (Sat) 00:41    
バイトから帰ってきて珍しく、時任からお迎えが無かったので、自分で玄関を開けた。

名前を呼んでも返事は無い。が、玄関に靴はあったので家に居ることは間違いなかった。

「ただいまー、時任?」

リビングに続く部屋を開ければ、其処は少しだけ異空間になっていた。

特に台所の部分が。

何故か牛乳パックの小さいのが一杯置いてあった……というより、放置してあった。

よく見るとソレは、生クリームのパックで全てが空だった。

ざっと空の数は、七パック。

…………何に使ったんだろう、と悩む量である。

生憎、その生クリームを量産した人物はリビングにはいない。

探す場所なんて数えるほどしかないので、すぐに目当ての人物は見つかる。

寝室で、グッスリと寝ていた。

「…………ただいま、時任」

ヒッソリとその寝顔に囁いて、もう一度扉を閉める。

そしてあの空のパックを片づけるべく、台所へと向かった。


「くぼちゃん……?」

片付けが終わって、一休みしていると時任が起きてきた。

「おはよ、って云ってもまだ夜だけどね」

「……そっか」

まだ寝ぼけているのか、たどたどしい口調で話す時任に俺は、思わず苦笑する。

「……なぁ、今なんじ?」

壁の時計を見れば、時刻は十時過ぎだった。

「十時……五分ってとこかな?
  それがどうかした?」

「うっそ……やばっ」

時間を聞いた時任は、慌てて台所に向かった。

俺はその行動に首を傾げるしかない。

戻ってきた時任が抱えていたものは、サランラップで蓋をされたボールだった。

「なに、それ?」

「生クリーム」

ほら、と見せられたのはボール一杯の白色。

「時任、生クリーム好きだっけ?」

そんなに作るくらいはまっていたなんて知らなかったなぁ、なんて。

「違うってーの、くぼちゃんに」

「俺に?」

甘いものは好きだけど、そんなに生クリームはいらないけども、ボールを突き出す時任に負けてそれを受け取った。

「スプーンとかくれないの?」

とりあえず食べられるだけ、と思い、道具を要求したのだが、時任は逆に自分の方へと身を乗り出してきて「そのまま」と制止をかけられる。

「……それで?」

食べられないし動けないしで、時任の言動に困惑気味だ。

「あーん」

……一瞬本気で何を云ってるのかわからなかった。

クリームを自分の指で掬い上げ、俺の口へと持って来ようとしている。

突拍子過ぎる時任の行動には、いつもついていけない。

それがいいんだけど。

「くぼちゃんっ」

呆けている俺に痺れを切らして、時任がキツく名前を呼んだ。

「……イタダキマス」

舌を伸ばして、指を纏う白の甘いそれを綺麗に頂く。

「美味しい?」

「うん、まぁね」

ただの生クリームだし、という台詞は心の中だけで続けた。

「じゃあ、もっと」

もう一度、食べ終われば、また繰り返されるその動作。

指を白くコーティングして、赤い舌で汚して。

「くぼちゃん犬みてぇ」

「ひどいなぁ
 それよりさ、なんで突然生クリーム」

「また忘れてんなぁ、お前」

拗ねたというより呆れている時任に、俺は首を傾げるしかない。

「ハッピーバースディ、くぼちゃん」

「あ、そっか」

云われて漸く今日が、二十四日だと気付いた。

「だから、生クリームプレゼントー」

「……胸焼けおこしそ」

「ちゃんと受け取れよなぁ」

「アリガトウゴザイマース」

「うっわ、ムカつく」

生クリームがプレゼント、プレゼントねぇ。

「じゃあさ、これ俺の自由にしていいの?」

「別に、捨てる以外ならいいけど」

「ふーん」

「な、なんだよ」

上がる口角を自覚する。

ねぇ、時任。

……今夜は、覚悟しといてね?

End

一日、遅れてしまいました……。
誕生日おめでとう御座います、久保田サンvv
ちょっと、どうだろうっていう誕生日プレゼントです。
その後、生クリームは全部綺麗に、食べられたました(笑

犬'サマ、素敵な企画を有り難う御座いました!!


■犬’  -2007/08/26 (Sun) 20:27
鴨ネギならぬ、時生クリーム!!!!ヤバイ!ヤバすぎですよ!!!!
胸焼けもせず美味しそうに完食した久保田さんが容易に想像できます(笑)
誕生日に大好物をもらって良かったね!

幸せそうな久保ちゃんをありがとうございました!