Happy Birthday ! TWINS !!

「楽しい夜になるといいねぇ〜♪」
 自分も麻衣と熱い夜を過ごしたいが、それは無理なので諦める。代わりに遠い空の下に居る弟に向かってエールを送る。
(誕生日じゃなくたって熱い夜は過ごしてるしね)
 自分はナルと違って歳相応の欲求に従いそれなりな回数を麻衣と重ねている。時折、ナルが混ざるくらいだ。なのでそう悔しくも無い。
 たまにはナルも二人きりの夜を過ごすのも良いと思う。
 そんな朝(?)に相応しくないことを考えていると、コンコン、とノックされルエラの声が聞こえた。
「Mr.late riser.Please wake up 」
「Yes , Mom!」
 時計を見ると午後1時、少々寝過ぎた。 
 昨夜はオールで友達と騒いでて少し飲み過ぎた。朝ごはんは勘弁してくれても、昼ご飯には起きないとヤバイ。昼に一緒に出かけると約束したのだ。
 急いで支度して階下に降りる。
 ルエラはキッチンに、マーティンは紅茶を飲みながらソファで寛いでいた。
 ルエラに『おはよう』と頬にキスをする。
『お早う、お寝坊さん。誕生日おめでとう』
『ありがとう、ルエラ』
『休みとはいえたまには時間通り起きて頂戴。一緒に朝ごはんが食べたいわ』
『・・・ごめん、努力します』
『ふふふ、卵は何がいい?』
『オムレツ』
『分かったわ』
 テーブルに着席する前にマーティンのところへ行く。
『おはよう、マーティン』と言いながらキスをすると、苦笑されてしまった。まぁ、お早うの時間では無い。だがこんにちはも間抜けなのでお早うと言うしかない。
『誕生日おめでとう、ジーン。カードとプレゼントが届いているよ』
 テーブルの上には色とりどりのカードと大小のプレゼント達。
 宛名を見てみると研究所の面々と、何と日本からも送られていた。麻衣とリンとイレギュラーズ。もちろんナルからは無い(笑)。
 麻衣からのプレゼントを開けてみると、何と目覚まし時計だった・・・。
(こんなところで野生の勘働かせなくていいのに。タイムリー過ぎるよ・・・)
『あら、気の利いたプレゼントね。さすが麻衣だわ』
『ああ、まったくだ』
 後ろで見ていた両親にも笑われてしまった。
 実は最近使ってた目覚まし時計が壊れたので、その代わりとして買ってくれたのだろう。正直目覚まし時計があってもなくても寝坊するけれど、あれば多少は違う。特に麻衣が起こしてくれないときは必要だ。
 卵のような可愛らしいフォルムは飾りとしても良い。大事に使わせて貰う事にしよう。

『オムレツ出来たわよ』
 ルエラの言葉に、プレゼント開封を止めてテーブルにつく。
 ルエラが向かいに座り、ソファで寛いでいたマーティンもテーブルにやってきた。
 三人で午後はどこへ行こうかと話し合う。
 こんな風に過ごせるのは久々で、二人はとても喜んでくれている。自分も大好きな両親と過ごせるのは嬉しい。
 でも少しだけ足らない。
 ここにナルと麻衣もいたら更に完璧だ。 
 いつか、皆で暮らせたらいいと思う。
 愛情溢れる両親に、可愛げなくとも愛する半身、そして自分が選んだ愛する女性。
 僕の欲しかったもの、愛してるもので溢れた中で暮らすのが夢だった。
 半分は叶ったが、どうせなら全部叶えたい。
 とりあえず、今は半分を堪能しよう。



 * * *

 翌朝、麻衣からのプレゼントを使ってみると、「ジーン、起きて!」「起きないと怖いよ!」「朝食抜くよ!」と麻衣の声で盛大に鳴り響いた。声を録音するタイプだったらしい。
 それを聞いたルエラとマーティンに爆笑されたのは言うまでもない。



(終)


2011.9.19
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