Love Mission |
『アレ邪魔だと思わない?』 ジーンがホットラインで話しかけてきた。 二人はソファに並んで座り、ナルは専門書を、ジーンは雑誌を読んでいた。隣にいるのにわざわざホットラインを使うのは良くない相談をしたいときだ。今度は何を言い出したのか・・・。 『何がだ』 『麻衣のタオル』 ジーンが『キッチン見てみ』と言うので視線を送ると、カウンターの向うで麻衣が風呂上がりの牛乳をごくごくと飲んでるところだった。 ・・・タオル一丁で。 恋人になってから麻衣の無防備度が増した気がする。どちらかと言えば奥手な彼女は、あられもない恰好をして自分達を誘うことはない。なのに平気であのような恰好をする。隣の馬鹿にちょっかいをかけられても仕方ないだろう。無防備な麻衣に呆れながら返事をしてやる。 『別に。どうでもいい』 『ええええ!何でさ!あのタオル取っちゃいたいとか思わない?』 『思わない。中身はもう知っている』 『そうだけど!何回でも見たいと思うのが男心でしょうが!?』 『それは男心とは言わない。助平心というんじゃないか?』 『男=助平でしょうが』 『全ての男をお前と一緒にするな』 『そうだね。ナルは助平じゃないね。むっつり助平だもんね』 『・・・・・・』 バサッ! PKでジーンの鼻先で本を閉じてやる。 『ちょっナル!こんなとこでPK使うなら、麻衣のタオル取るとかに使ってよ!』 『断る。自分の手を使え』 『バッカだなぁ、自分の手で取ったらつまらないじゃん。風とかアクシデントではらりと落ちるのがいいんだよ。チラリズムは男の浪漫だろ?』 『・・・ライン切るぞ』 『あー駄目駄目!切っちゃ駄目!!一言だけ言わせて!』 『・・・何だ』 『お兄ちゃんのお願い。あのタオル取って』 『切る』 『もうチャージしてやんないぞ!』 『間に合ってる』 『チャージしないでPK使ったらリンに強制送還されるよ!』 『バレなければいい』 『僕が言うもん』 『・・・何をそんなに拘っているんだ』 『だから男の浪漫なんだって』 もう相手をするのが疲れたのでさっさと願いを叶えてやろうか。だが麻衣は勘が良い。PKを使ったらすぐバレる。ジーンの道連れでガミガミ言われるのはご免だ。 どうしようか思案していると 「さっきからホットラインで話してるでしょ」 キッチンから出てきた麻衣に話しかけられた。手には牛乳を持ちタオル一丁の姿のままで腰に手をあてて呆れたような声を出した。 「よく分かったね」 ジーンが驚いた風に言ったがこれが初めてではない。何故か麻衣は二人がホットラインを使ってるのがわかるらしい。動物並みの勘の良さは年々冴えわたっている。 「二人の空気が何か変だから分かるよ。、ナルがPK使って本閉じたりしてるし。何話してたんだか知らないけど喧嘩でもしてたの?」 「あ、分かる?」 「分かるとも。ナルが不機嫌オーラ出してるじゃん」 「そっか。・・・内容知りたい?」 「教えてくれるの?」 「僕がナルにちょっとしたお願いをしたら駄目だって断られたの」 「それだけ?」 「僕は絶対出来ないけど、ナルにとっては指を鳴らす程度のちょっとしたことなのにさー、お兄ちゃんのお願い叶えてくれてもいいと思わない?」 「・・・・・・」 ジーンがさも不満だという顔をしてナルを見やると、麻衣もつられてナルを見る。 「そんな簡単なの?」 「・・・僕にとってはな」 「それするのナルは嫌なの?」 「別に嫌ではない」 「だったらしてあげればいいのに」 「・・・・・・いいのか?」 「ナルが嫌じゃないならいいんじゃない?」 麻衣は何も考えずに無邪気に言う。勘がいいくせ変なところで鈍いのだ。 本人が言うのだから遠慮することは無いだろう。 「分かった」 パチンッ! ナルが指を鳴らした途端、麻衣のタオルがハラリと落ちた。 「ふぎゃッ!」 麻衣は真っ赤になってタオルを戻そうとするが、左手にグラスを持っているので右手でしか体を隠せない。慌ててタオルを拾い上げ前だけ隠した。 「ナルとジーンの馬鹿ぁぁぁぁあああ!」 麻衣は真っ赤になってわめきながら自室へ逃げこんだ。二人はそれすらじっくりと鑑賞する。 羞恥で赤くなった顔は見モノだった。逃げる姿は前しか隠せてないので小さなお尻と華奢な背中は丸見えで、羞恥でうっすら赤くなっておいしそう。麻衣の恥ずかしがって前を隠す仕草もぐっときた。なかなかそそる光景だった。 「・・・チラリズム、確かに悪くない」 「でしょ?」 性質の悪い双子はそろって人の悪い笑みを浮かべた。 むくれた麻衣に『こんの馬鹿兄弟!暫くキスしてやんない!』と宣言されるのはこの5分後・・・。 終わっとけ。 |
PK自在に扱えたら楽しいだろうなぁ・・・って妄想です。 ジーンは私の分身のようだ。親父化してごめん! 2011.3.21 |
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