Let's try! 




                                            絵:こまちさん

「毎朝、毎朝よく続くね~。感心しちゃう」
「うん。僕も偉いと思う」
「あれだけ見てるとすっごい健康的な人に見えるね」
「あれしか運動しないのにね」

 今朝もリビングの窓際で、ナルが日課の太極拳を披露中だった。
 約30分ほど行われるソレは、ナルが徹夜したり調査でも無い限り、休まず行われている。

「あんなにゆっくり動いてるのに、すっごく汗かくのが不思議なんだよね」
「やってみる?ナルのじゃないけど似たのなら教えてあげるられるよ?」
「ふぇ?」

 ジーンに引っ張られてリビングに行き、空いてるスペースに二人並んで立つ。

「まず真っ直ぐ立って、胸の前で手合わせて合掌して」
「はい」
「その位置から左足を半歩下げて、それに合わせて左手もずらして半身になって。そのまま腰落として」
「・・・えと、こんな感じ?」
「ちょっと惜しいかな」

 後ろからジーンに手を掴まれて位置を直される。

「右手は右足の上を、左手は左手の上に位置するようにして」
「ん」
「そして腰をもっと落として」

 ジーンに両脇から腰を掴まれた。

「ひゃぁッ」

「変な声出さないでよ」
「ごめん。横腹弱いんだよ~」
「そういえばそうだった」
「///・・・こんくらい?」
「もう少し。体勢を崩さない程度に、でも出来るだけ落として。あ、片足に寄りかかっちゃ駄目。重心は体の真ん中になるようイメージして」
「えぇっと・・・」

 腰を出来るだけ落として重心を真ん中にイメージ・・・としたら、足がつった!
 体勢を保てずグラっと倒れそうになる。

「わわわっ!」
「危ないッ」

 危うく倒れそうになったところをジーンに支えられてもらう。
 そのまま縋りつくようにして寄りかかった。

「言った傍から転ぶなんてベタ過ぎ」
「ううう面目ない」
「足つったの?」
「うん・・・ってヤダ!触んないで!痛いッ!!」
「マッサージした方がいいんだよ?」

 足に触ろうとするジーンと、逃げようとする私。「ヤメテー!」って叫んだ途端・・・

「へっ」
「うわっ」

 急遽視点が反転。気が付いたら床のラグとキスをしてた。
 床に倒れたまま視線を上げると、目の前には眉をしかめてこちらを睨みつけているナル様がいた。
 

「煩い」


「「すいませんでした」」


 人の邪魔をしてはいけません。



(オチが無い)

麻衣にさせようとしたのは合気道の正眼の構えです。ゆっくり型を練習するととても汗をかきます。太極拳とちょっと似てると思う。

2011.6.1
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