Midnight Teatime




                                          絵:こまちさん
「お茶おいしい~」
「うん。ナルも紅茶淹れるの上手いよね」
「麻衣の方が美味い」
「え?そかな~、ナルのが美味しいと思うけど・・・」
「僕は同じくらいに思うけど?」
 二人の言い分にナルは首を傾げて否定した。
「ジーン、男性が淹れた紅茶と女性が淹れた紅茶、どちらが飲みたい?」
「女の子が淹れてくれたのに決まってる」
「そういうことだ」
「なーるほど」

 技量が同程度であれば、女性の麻衣が淹れた方が美味しく感じるに決まってる。珍しく男らしいナルの言い分に、ジーンは「うんうんと」同意した。しかし麻衣は納得いかず「ううう?」と唸っている。

「私は男女関係なく、上手な人の方が良いんだけど」
 麻衣はとっても当たり前の事を言ったつもりだけれど、二人はやれやれと言うように首を振った。
「女の人は浪漫がないなぁ」
「普段人のことを散々情緒が無いと言う癖にな」
 ナルに鼻で笑われて麻衣はカチンと来た。
「ナルに浪漫が無いなんて言われたくない!じゃあナルならジーンが淹れた紅茶とジョンが淹れた紅茶、どっちがいい?」
「…ジョンの方」
 ナルは一瞬考えたが即答だった。
「でしょう?私もそうだもん」
「えぇぇ!可愛い恋人や弟が淹れた紅茶より、友達が淹れた紅茶をとるの?」
 ジーンは二人に抗議したが、二人の答えはジーンにとってとても残酷なものだった。

「お前は紅茶を淹れる才能が無い」
「ジーンて紅茶を淹れるの下手だもん」

 大ざっぱなジーンは茶葉の量をしょっちゅう間違えるので、渋かったり薄かったり微妙な紅茶を入れる名人だ。お世辞にも上手とは言い難い。それなら真面目で几帳面なジョンの方が美味しい紅茶を淹れそうな気がする。ジーンには悪いがお茶には煩い二人はジョンの方を選びたい。

「ま、麻衣まで・・・酷い・・・」
「事実だ」
「えーと、ごめんね?」
 ダブル攻撃にショックを受けたジーンは拗ねた。
「じゃあ僕とナルの淹れた紅茶ならナルの方とるの!?」
 涙目になりながらジーンが叫ぶと、ナルは当然僕だろうと言わんばかりの顔をし、麻衣は困った顔でうーん?と唸ってしまった。

 ここでどちらかを答えてしまうと、どちらにも角が立つ。ジーンもナルも機嫌を損ねると面倒なので出来れば避けたい。
 それに二人が淹れてくれたのなら美味しくても美味しくなくても嬉しい。
 美味しいのは当然ナルだが、ジーンのにこにこ顔で出された紅茶も捨て難い。
 同時に出されたならどちらも飲みたい。どちらも選ばないという選択肢は選びたくない。 この場合欲しいのはもう一人の自分だ。女の子は欲張りなのだ。
 だからここは卑怯かもしれないけれど・・・

「・・・回答拒否」

 えへへ、と笑って誤魔化してみた。

「ほぉ?」
「へぇ?」

 だが当然、二人は納得してくれず、双子は少々(?)強引に回答を迫ったそうな。

 それがどんな方法か、どんな答えかは三人の秘密☆

 真夜中のお茶会は甘くて苦かったようです。


(終わっとけ)




 もう一つのオチ
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「じゃあ僕の○○とナルの○○どっちのが飲みたい!?」
「一遍死んでこい!」
「……(絶対零度の視線)」

 麻衣は乙女パワーをナルにトスし、ナルは受け取ったトスを紳士パワーで増幅させてジーンに叩きつけた!
 そしてジーンはお星様になったとさ☆

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『 ってオチを先に思いついたが自重した。それともこっちのがいい??(ヲイ)』
 とこまちさんへメールしたら爆笑してもらったので両方載せました。
 本当はお風呂の後に続く絵ですが単品でも大丈夫そうなので単独掲載。
 膝乗り麻衣ちゃんが可愛すぎる。


2011.6.18
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