Errand & Reward!
おまけ
 とある渋谷区のスーパーマーケットにて奥さま方が噂話をしていた。

奥さまA「・・・そろそろじゃありません?」
奥さまB「そうですわね。今日は例のアレが入荷してますもの」
奥さまC「前回いらしてから一週間だもの。絶対いらっしゃいますわ!」
奥さまA「あ、皆さま!見て!!」

 奥さまAの声に奥さまーズは一斉にスーパーの入口を見た!
 (しかし物陰からこっそりと)
 そこにはスーパーには全然そぐわない黒衣の麗人、別名「納豆魔王さま」と、麗人と称してもいいはずなのににこにこ笑顔が庶民的な、別名「納豆王子さま」が並んで入店していた。

『Θ○△×∵∩※?!!!』
『ktktkt!』
『stkstkstk!!』
『GJ!GJ!GJ!』

 彼らが歩く度に周囲で見えないハートマークが飛びかい、声にならない叫び声が巻きおこる。
 ここが渋谷の街中なら遠慮なく写メを取る女子高生がいるだろう。しかしここは仮にも渋谷区松濤の一等地、セレブな土地柄なためそんな礼儀知らずな真似をする者はいない。皆必死で平静を装い遠巻きに、しかし熱く眺めるだけだった。
 そんな店内の様子に二人は気付いているのかいないのか、平然とした顔で店の中を歩き回り、目的の棚で立ち止まる。そこには赤いプラスチックのパッケージが山積みされていた。
「あったあった♪」
「案外残っているな・・・」
「麻衣が喜ぶね」
 二人は『お一人様一パック限り!』と書かれた納豆パックを一つずつ手に取りレジに消えて行った。

奥さまA「ああ・・・今日も素敵でしたわwww」
奥さまB「拝見するだけで寿命が延びる気がしますわ」
奥さまC「ほんとに・・・」

 奥さまーズは二人の後ろ姿をうっとりと眺め、熱い溜息を零した。スーパーはそんな女性で溢れていた。
 彼女らは品薄中のスーパーに納豆が入荷する木曜日に決まって現れるあの二人を目当てでこのスーパーにやって来ていた。彼女たちは二人を「納豆魔王&王子さま」と呼び密かに応援していた。そのお陰でこのスーパーでは納豆が入荷する毎週木曜日には通常の3倍増の女性客が来店するそうな。店側も心得て、あの二人には納豆が次は何日に入荷するなど会計時に情報を流しているらしい。彼ら二人が来るまでは納豆に手を出さないという不文律も出来てるらしい。

 そんな些細な双子伝説の一つ。


(終わっとけ)
かなやんさんから「スーパーでは王子御用達で密かな人気が出そう~」とネタ振り頂いたのでオマケを書いてみました。ネタありがとうございました!
2011.11.7
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